かあさんは雨女

語学と育児、その他いろいろ。

読書記録 — 湊かなえ「告白」

覚え書き。たったいま読み終わりましたので。

湊かなえさんの小説を読むのはこれが初めてです。

 

なんか、湊かなえがすごいらしいから、いつか読んでみよう…

読むなら、なかでもすごいらしい「告白」からだな…

 

と、かねてから思っており、先日ついに図書館で借りてきました。

 

※ネタバレにならないよう配慮したつもりですが、多少なりとも本の内容に触れないと読書記録になりませんので、

今後同作品を読むご予定のある方は、以下自己責任で閲覧してくださいね。

 

国語教師であり読書も大好きな私ですが、本を読むのはかなり遅いほうでして、

長編小説ならだいたい1週間くらいかけてゆっくり読むことが多いのですが、

この小説は2日で読めました。

 

スピード感がすごかった。

本を閉じられなかった。

ドキドキワクワクというよりは、先が気になって、気になって。

ここまで読み手を惹きつけてくるのは、作品全体に漂っている不穏さ、

登場人物たちのまとう何ともいえない不安感。そして密度を増していく心の闇。

幼い娘のいる身としては、まず序盤で胸が苦しくなってしまいました。

でも、決して「もうやめよう…」と思わせてくれない、最後まで見届けなきゃ気が済まない。

そんな本でした。

 

救いのない展開が続くなか、時々ちらりと光がさすような、うつくしい描写があったりして。

でもそれがまた裏目にでたり、他の人物によっていいように利用されてしまったり…。

個人的には、新任の「熱血先生」の頑張りが空回りに描かれたあたりが、

読んでいてたいへん苦しかったです。

こんなふうに、自分の「アツさ」を生徒に押し付けてしまうこと、あるなー…。

 

「…家庭訪問していたのは、○○くんのことを思ってですか?それとも、先生の自己満足のためですか?」

 

という生徒のせりふ、刺さったなー。教師が自分に酔っちゃうとロクなことがないよ、ほんとに。

 

ただ、ひとつだけ言わせてほしい。

 

新卒採用の教師が、あんな問題のあるクラスを引き継ぐなんてこと、

まずありえません!!

 

…まあ、これを言ってしまっては元も子もないんですけどね。

昨今、保護者対応やらいじめ問題に、学校もかなり敏感になっていますから、

新任の先生が担任持つことはあっても、その学級のことは周り中の教師が細心の注意を

払って見守っているはずです。私も、もしあの中学校の職員室にいたら、そうします。

いじめなんか起ころうもんなら、学年主任、教科担任、はたまた初任者指導員が

全力で察知するはずです。(まあ、ぜんぜん仕事しない人もいるにはいますが…)

「引き継ぎの調査書を読んでいない」発言も、現実問題としては考えにくい。

まず春休みの段階で、初任者指導員とみっちり名簿の読み合わせをさせられるはずですから。

(まあ、中には仕事しない指導員も…以下略)

 

…と、フィクションにツッコミを入れても仕方ないのですが。

いかんせん学園ものの創作では、学校の「隠蔽体質」が取り沙汰されることが多いのが

気になっておりまして。

 

私も中学校2校しか経験していないので、すべての学校がそうだとは言いませんが、

(事実、先日の横浜での「原発いじめ」のように、頑なにいじめを認めない教育委員会

 あると知って驚愕しましたが)

学校は基本的に、問題が起きやすいところには経験豊かな教員を配置する、

何か事件が起きたらみんなで情報共有して対応する、保護者にもきちんと説明する、

ということを徹底しているものです。

問題が起こったことより、対処しなかったことへの責任の方が重いですから。

 

何か事件に対する、学校のトンデモ対応がニュースになってしまうたびに、

「こういうのがニュースになるのは珍しいからなんだよー、多くの先生はちゃんとやってるよー」

とテレビに向かって叫びたくなります。

まあ、地道な努力は報われにくいものですね。

 

って、なんの話だ。

とにかく、読んでよかったですよ、「告白」。この読後の脱力感といったら。

映画にもなっているのですね。

私としては、少年Bの母親役に木村佳乃を配したあたりがナイスキャスティングだと思います。

2010年の作品ですが、ブレイク前の芦田愛菜能年玲奈橋本愛が出演していて、なかなか豪華ですね。

後日こちらも鑑賞しようと思います。

 

さて、読後感も少し落ち着いて、眠れそうな気がしてきました。

今日はこのあたりにしておきましょう。

またね。