かあさんは雨女

語学と育児、その他いろいろ。

学校で習ったけれど、ウソだった英語、うさんくさい英語。

こんにちは。

先日、9ヵ月の娘・おタマに新たな歯が生えているのを発見しました。

これまで長らく下の前歯2本だけだったのですが、上にもうっすらと白い歯がのぞいています。すごーくがんばって、下からぐいーっと覗かないと見えないですが(笑)。

 

我が家では、娘の就寝前に歯磨き(の練習のようなもの)をするのが日課なのですが、普段は私が「おかあさんといっしょ」のハミガキの歌を歌ってあげながら磨いています。私の子ども時代のものですが「ぐりぐりしゃかしゃか、上の歯下の歯前歯奥歯〜♪」みたいな歌です。(今もまだあるのかなあ?)

で、昨日は珍しく、夫のナコ太氏に おタマの歯磨きをお願いしたのです。私は別室におったのですが、しばらくすると、2人のいる部屋から戸惑ったような歌声が聞こえてきました。

「えーと…、♪ぐりぐりしゃかしゃか、ぐりぐりしゃかしゃか、上の歯、下の歯…ヤンマーディーゼル〜♪」

私の歌うやつをうろ覚えで再現しているのでしょうが、途中からヤンマー発電機のCMソングのメロディーになっていました。

文句のひとつも言わず、上機嫌で歯を磨かれているおタマ。

我が娘ながら、とってもいいやつです。

がんばれナコ太さん!

 

ところで、お気づきの方もおられるかもしれませんが、前回から改行のしかたを変えました。これまではパソコンで読みやすいように、適当な句読点や文節で改行をしておったのですが、これではスマートフォンなどのポータブル端末でとても読みにくくなってしまうことに気づきまして。なるべく、段落の切れ目以外では改行しないようにいたしましたが、いかがでしょうか。

おかげさまで、じわじわと閲覧数を伸ばしている当ブログ。あちこちと話題が飛んでしまって節操のない私ですが、今後ともご愛顧いただければ嬉しい限りです。

 

さて、毎度前置きが長いですね。

今回は、英語学習のお話です。

 

※既存の学校教育に疑問を呈するような記述が含まれていますので、気分を害される予感のある方は読まずにおくことをお勧めします。また、学校教育への個人的な恨み言ともとれる記述もございます。笑って読みとばせる心の余裕のある方のみ先へお進みください。

 

ロシア語能力検定も終わり、区切りがついたので、ぼちぼちと英語学習に立ち戻っております。

(今月末にはスペイン語検定も控えておりますので、そちらが近づいてきたら今度はスペイン語の話題にシフトしていくかと思います。)

 

私が英語を学習するときは、なるべく「ネイティヴの人も使っている生の音声や文章に触れること」を心がけてやっています。具体的にいうと、英語で書かれた雑誌、海外のニュースやインタビューの音声を集めた教材、そして英語圏の映画やドラマなどです。

ちょっと偏見なのですが、学習のために作られた素材だと、内容に偏りが生じてしまうような気がするのです。もちろんいい教材もたくさんあるのでしょうけれど、私がどうしても「学習用に作られたもの」を信用できない原因として、学校で習った英語がウソっぱちで使えなかった、という経験をしたことがあります。

それも、一度や二度ではありません。度々です。「ネイティヴはこういうふうに言わないから」とか先生が言っていた表現を、ナチュラルにハリウッド俳優が口にしているのを見たりすると、何というか、腰から力が抜けるような気持ちになります。

大学受験時代は、けっこうがんばらないと入れない大学に入るために、けっこうがんばって英語を覚えた記憶があるのですが、その中には特にウソっぱちが多かったです。あの努力は何だったんだ、とヘナヘナしちゃいます(もちろん、無駄じゃなかった知識の方が多いですし、あの時がんばったから今があるのだとは思っていますが)。

 

というわけで、改めて、私がこれまでに出っくわした「ウソっぱち英語」や「間違ってはいないけど、うさんくさい英語」を以下に列挙してみます。

 

①現在完了進行形は、「ずっと絶え間なく〜している」という意味である

 中学校の英語だったように思うのですが、いわゆる"have been -ing"の形。

たとえば、

It has been raining since yesterday.

というと、「昨日からずーっと雨が降っている」という意味になります。

ここまではいいのですが、問題は、以下の例文。

I have been playing the piano for ten years.

日本語にすると、「私は10年間ピアノを弾きつづけている」となります。

この例文を引き合いに出して、中学の先生が「これは10年間、睡眠も食事も摂らずピアノを引き続けたという意味になってしまうから、まちがい」とおっしゃっていました。

だから私は、ずっと現在完了進行形は「物理的に休みなくやり続ける」という意味でのみ使うのだな、と思っていました。

ところが数年後、短期留学先のシドニーにて、まさに同じような例文が英語クラスのプリントに登場したのです。

思わず、「先生、これおかしくないですか」と質問しました。するとオーストラリア人のJock先生(今でも名前覚えてる)、「ずっとやり続けているというニュアンスを出すためなら、多少オーバーでも現在完了進行形を使ってもいい」と説明してくださいました。

その後も、物理的にずっとやり続けているわけでなくとも、現在完了進行形を使っている例を数多く見てきました。

 

②"the"の読み方問題

これは有名な話ですが、私が中学生だった頃は、冠詞"the"の読み方について

「子音の前にくるときはザ、母音の前ならジと読む」

と教えていました(今はどうなのかなあ)。

これ、ウソです。

ザのままでは読みづらいとき、強調したいとき、あるいは何の脈絡もなく気まぐれで、ネイティヴスピーカーは、たびたび"the"を「ジ」と発音します。母音と子音の区別なんて、へったくれもありません。今でも、なんであんな指導が全国的にまかりとおっていたのか、謎です。

そもそも英語では、ストレスの置かれる場所でなければ、母音の発音って結構いいかげんなのです。"the"の発音をよく聞いていても「ザ」とも「ジ」ともとれるような発音がほとんどなのではないかなあ、と思っています。

 

③「政治家」をpoliticianと訳してはいけない

確か高校でだったと思うのですが、先生が「politicianという言葉は、政治家ではなく「政治屋」、お金のためだけに政治をやっている人物だとばかにする響きがある。statesmanという語を使うべきだ」とおっしゃっていました。私はそれを聞いて「politicianという語は、あまり使ってはいけないんだな」と思っていました。

ところが、海外のニュースなどを見ていると、基本的に政治家のことはpoliticianと言っています。会話の中でもpoliticianの方を使うのが一般的なようで、statesmanという語はあまり聞いたことがないように思います。

今、googleニュース検索で調べてみたところ、ヒット数は以下のようになりました。

 

politician - 約5,750,000件

statesman - 約1,240,000件

 

やはり、politicianの方が多く使われているようです。ニュース記事で「人をばかにする」表現を頻繁に使うわけはありませんから、politicianという語はニュートラルな意味で「政治家」をあらわす語と考えて間違いなさそうです。

 

ただ、念のために英英辞典を引いて確認してみたところ、興味深い記述がありました。

 

politician [noun] - a person who is professionally involved in politics, especially as a holder of an elected office. Chiefly US a person who acts in a manipulative and devious way, tipically to gain advancement within an organization. (Oxford Dictionary of English)

 

拙訳ですが、がんばって日本語にしてみます。

 

politician [名詞] - 専門的に政治に関わっている人物。特に、選出された事務所をもつ人物をさす。主にアメリカでの用法:巧みに、ずる賢い手法を用いて、主として組織の中で昇進するためにふるまう人物。

 

なるほど。アメリカ英語では、先生がおっしゃったようなニュアンスもあるわけですね。私が教わった英語の先生は、こういう辞書などを使ってよく勉強していたのだということがわかりました。ただ、アメリカのニュースサイトでもやはりpoliticianという言葉が一般的に使われていることを考えても、この辞書に載っている俗語的な意味と、実際に使われているニュアンスとの間に乖離があるように思えます。やはり、普段から生の英語に触れているかどうかということが重要なのではないでしょうか。だって、「politicianは人をばかにする言葉」だと思ってニュースサイトを読んだら、面食らっちゃいますものね。

 

④butは文頭で使ってはいけない

これは少し微妙な問題なのですが、高校では「butは文頭にもってくると子どもっぽいから、必ずhoweverを使うように」と教わりました。

 

たとえば、

「昨日は雨の予報だった。だが、今日は晴れている」

というようなことを英語で言うとき、2文目で

"But it's sunny today."

というのは適切ではない、ということです。

 

これは部分的には正解なのですが、論文など堅い文章を書くうえでの話であって、会話やスピーチでは普通に文頭でbutを使います。むしろ、howeverを日常会話で何気なく使う人がいたら、ちょっとびっくりしちゃうと思うのですが、いかがでしょう(冗談めかして格式ばった言い方をしているように聞こえるかもしれません)。ただ、高校では読み書きの英語がメインになってしまっているので、このような指導になるのも無理はないのかもしれません。まずは日常会話で使える英語を教えてもらいたいものですが。

 

 

⑤あいさつの不自然さ

ほぼ八つ当たりですが、私は"How are you?"というあいさつを日常会話で聞いたことがありません。いや、間違いではないし、ドラマなどでは使う場面も見かけるのですが、実際に留学先でいちばんよく耳にしたのは"How are you doing?"です。短く縮めた"How ya doin'?"もよく使われていました。私の好きなアメリカのドラマ"friends"でも、プレイボーイのJoeyがナンパをするときの決め台詞として"How you doin'?"というのがありました。

この"How are you doing?"を省略した形が"How are you?"なのですが、日本の学校では元の形を教わらないため、私は初めて"How are you doing?"と聞かれたときに意味がわからなくて答えられませんでした。結果、「いちばん基本のあいさつもわからないヤツ」になってしまったわけです。けっこうがんばらないと入れない大学の、しかも文系の学生なのに。英語の成績は学校でも上位だったのに。この経験は屈辱的でした。

更に言うと、日本の中学校英語の定番"I'm fine, thank you. And you?"も聞いたことがありません。これも間違いではないのですが、友達同士なら"Good. You?"みたいにササっと答えるのが普通で、"I'm fine, thank you. And you?"なんて長ったらしい表現を使っていたのは日本人だけでした。

 

私の勉強不足だ、あいさつのバリエくらい行く前に確認しとけと言われれば、それまでです。でも、基本のあいさつにはこういう表現の幅があると、初級の段階で教えてくれたっていいじゃない。使える英語を教えてなんぼですよ。

今の英語教育がどんなものかはよく知りませんが、私が中学校にいた十ウン年前よりも進歩していることを願ってやみません。

 

⑥むだに小難しい構文

最後にもう一つ。

大学入試対策の英語の話なので、無理もないといえばないのですが、論文にしか出てこないような複雑怪奇な構文を覚えさせられたことも、今となっては本末転倒なんじゃないかと思います。

例えば、今もあるのかな? 受験英語の中でも有名な「クジラ構文」。

 

A is no more B than C is D.

Aは、CがDでないのと同じくらい、Bではない。

 

という、日本語でも何言ってるのかワケわかめな構文です。

 

A whale is no more a fish than a horse is a fish.

くじらは、馬が魚でないのと同じくらい、魚ではない。

 

という例文からとって、クジラ構文と呼ばれていました。

私個人は、知識を得ること自体に無駄はないと思っていますが、それにしても会話も満足にできない人がこんな複雑な構文ばかり覚えてどうするんだ、と思わずにいられません。こういう構文を100くらい懸命に覚えて、論文だって読めますよという状態で満を持して留学した私が、"How ya doin'?"を理解できなかったわけです。「さもありなん」とか「虎穴に入らずんば虎児を得ず」なんて表現を読み書きで使いこなせる外国人が「コンニチハ」と言えないのと同じことです。ああ恥ずかしい。

 

 

これまで書いてきたことをまとめます。

ひどい書き方をしてきましたが、どの先生も「根も葉もない、まったくのうそっぱち」を教えていたわけではありません。ただ、辞書に載っている用法の一つを普遍的なものであるかのように言ったり、書き言葉に限った用法を話し言葉にも適用してしまっていたりと、一元的な見方しかしていなかったために生じたミスであるのだと思われます。あるいは、学習者である私が単純に受け取りすぎたとか、拡大解釈をしてしまっただけというものもあるかもしれません。

また、繰り返し書いてきたことですが、30代の私が学校教育を受けていた時代の話ですので、まだまだ学校が「読み書き偏重」の教育に偏っていたのだということも原因の一つだと思います。特に高校では、会話ができるかどうかなんて問題ではなくて、英語の論文を読んだり、書いたりするスキルを測る大学入試にどう対応するかという規準で授業が作られていましたので、特に⑥のような指導になるのは無理からぬことなのかもしれません。それでもやはり、オーラルイングリッシュの授業だってありましたし、会話力を高めるための指導がもう少し充実していても良かったのではないかと思っています。

 

 

余談ですが、留学先でのこと。

英語学校にて、最初の面談で「こいつ全然英語できねえや」と判断され、7つあるクラスのうち下から2番目のクラスに入れられた私。その悔しさをばねに、わりと頑張って会話の練習をしたことと、会話は下手ながら文法と語彙の知識だけは豊富であることが認められ、1ヵ月で上から2番目のクラスに飛び級させてもらいました。そこは基本的にずっとディベートで意見をぶつけ合っているようなクラスで、「マミはどう思う?」と事あるごとに話題を振られて逃げようがなかったため、ものすごく会話力が鍛えられました。結果、10週間の滞在期間とは思えないくらい英語を上達させることができましたが、あのクラスに最初から入れてもらえれば…と思うと、まだ少し悔しいような気がします。

 

ともあれ、中学校・高校で身に着けた語彙や文法の知識が役立ったことに間違いはありません。だから、学校で学ぶのが無駄だなんて思っているわけではないのです。ただ、その優先順位を、バランスよく整えて教えるに越したことはないじゃないか、ということです。

 

さて、いつもながら長い長い記事になってしまいましたが、ここまでたどり着いてくださってありがとうございます。私が留学したのはもう10年近く前のことで、それからもずっと英語学習は続けていますが、まだまだ終わりはありません。これからも、楽しんで英語を学んでいきたいですし、学び方をこの場でシェアする機会もたくさん持ちたいと思っています。

ひとまず、今日はこのへんで終わりとしましょう。

おやすみなさい。