かあさんは雨女

語学と育児、その他いろいろ。

英語&スペイン語で名曲解説"Mamma Mia!"/ABBA

こんにちは。語学大好きかあさん、マミです。

 

この夏に受けてきたロシア語試験ТРКИの結果が帰ってきまして、みごと合格しておりました!

まさかまさか、全科目で合格ラインを満たしているとは思っていなかったのでたいへん驚きましたが(特に面接試験…)、何年もかけて準備してきてよかった!

結果の詳細は「ロシア語の部屋」のほうに書きましたので、ご興味のあるかたは是非どうぞ。

 

 

さて、今日も久々の更新です。

最近、3歳の娘・おタマを保育園へ送迎する車の中でミュージカル「Mamma Mia!」のサントラを流すのがマイブームなのですが、これをおタマもずいぶんと気に入りまして、「まにまに("Money, Money, Money")、ききたい!」などとリクエストしてくるようになりました。

で、歌を聴きながら「まにまにまに、ますびふぁにー♪」と歌詞を覚えて一緒に歌うようになってきまして、さすがに子どもの耳の良さ&吸収力は素晴らしいなぁ〜などと感心しきり。

 

と、こんなかんじで英語のサントラを毎日聴いていたのですが、ある日ふと考えたのです。

「…これだけ有名なミュージカルなんだから、他の言語バージョンもあるのでは?」

 

実際、日本語版は劇団四季が作ってずっと上演しているわけだし。

ロシア語・スペイン語バージョンもあったりするのかしら?

 

で、YouTubeで探してみたところ、ありました、ありました。

ロシア語版・スペイン語版、それぞれ何曲かをまとめてアップしているアカウント。

(↑著作権的にどうなのかわからないのでURLは載せませんが、検索すれば出てきますよ〜。)

 

というわけで、英語版に混ぜて時々ロシア語、時々スペイン語の音源を気まぐれに流している今日この頃。

おタマは最初、「これ、(英語版と)ちがうねえ!」とプンプンしたりていたのですが(←言語が違うことにすぐ気づくのもすごいなあ)、しつこく聴かせているうちに段々と楽しくなってきたようで、最近では「ろしあごの、すぱとぅるぱ("Super Trouper")ききたい!」「すぺいんごの、ままみあ("Mamma Mia!")がいい!」とリクエストしてくれるようになりました。

 

おタマには「こどもちゃれんじEnglish」で英語に触れさせるなどしてきたので、日本語と英語という二種類の言語があるということは前々から知っていたようなのですが、このミュージカルをきっかけに「どうやら、もっとたくさんの言語が世界にはあるらしい…」ということに気づきはじめたようです。

 

語学ヲタクの英才教育、ここに始まれり…。(笑)

このまま国際感覚豊かな子に育ってくれたら嬉しいな。

 

と、そんなきっかけがあり、せっかくなのでこれから何回かに分けて"Mamma Mia!"の名曲を1曲ずつ解説していきたいと思います。

もちろん、英語詞とスペイン語詞・日本語詞(劇団四季バージョン)を比較しながら分析していきますよ〜。

 

今日は表題曲、"Mamma Mia!"をお届けします。

その後、予定としてはおタマのお気に入り"Super Trouper"、"Money, Money, Money"、その他何曲かをお送りできればいいな、と考えております。

(私の好きな"Slipping Through my Fingers"はスペイン語版が見つけられず…。マイナーな曲だからなあ。。)

他にもリクエストがあれば受け付けますので、コメントにてお知らせください。

 

ロシア語の歌詞もたいへん美しいものばかりだったので、「ロシア語の部屋」でも連動した企画をお送りしたいのですが、これはまだ未定。

 

では、まず"Mamma Mia!"の英語詞からご紹介します!

(いつものように、訳は私が勝手につけたものです☆)

 

※ちなみに、このミュージカルはABBAの曲をもとに構成されていますが、ストーリーに合わせて歌詞が改変された箇所がいくつかあります。当ブログではミュージカル版の歌詞を扱ってまいりますので、ABBA版と異なる点があることを予めご了承くださいませ。

 

【英語詞】

I was cheated by you and I think you know when(あなたに裏切られたの、いつのことか分かるでしょう)
So I made up my mind, it must come to an end(だから決めたの、もう終わりにしなきゃって)

 

*
Look at me now, will I ever learn?(この有り様を見て、私って学習しないの?)

I don't know how, but I suddenly lose control(なぜわからないけれど、突然、コントロールできなくなる)
There's a fire within my soul(魂の中で火が燃え上がるの)

 

Just one look and I can hear a bell ring(ひと目見ただけで心のベルが鳴る)
One more look and I forget everything, woah(もうひと目見れば、他のものは全て忘れてしまう、ああ)

 

Mamma mia, here I go again(マンマミーア、私ったらまた)
My my, how can I resist you?(なんてこと、どうしたらあなたに抗えるの?)
Mamma mia, does it show again?(マンマミーア、またなの?)
My my, just how much I've missed you?(なんてこと、どれだけあなたを求めていたか)

 

Yes, I've been broken-hearted(そうよ、私、傷いていたの)
Blue since the day we parted(別れた日から、ずっとブルーだった)
Why, why did I ever let you go?(どうして、どうしてあなたを手離してしまったの?)
Mamma mia, now I really know(マンマミーア、今ならわかる)
My my, I should not have let you go(なんてこと、あなたを手離すべきじゃなかったんだわ)

*

 

I was angry and sad when I knew we were through(この恋が終わったと知ったとき、怒り、悲しんだの)
I can't count all the times I have cried over you(何回あなたを想って泣いたかわからない)

 

*repeat

 

 

世にも有名な歌詞ですね。

ミュージカルに縁がない人でも、この「マンマミーア♪」というフレーズは聴き覚えがあるのではないでしょうか。

では歌詞のポイントを見ていきましょう(解説があるところに下線を引いておきました)。

 

歌詞の冒頭部分、ABBAの原曲では

"I've been cheated by you since I don't know when"
(覚えていないくらい前から、あなたにはずっと裏切られてきた)

となっていましたが、ミュージカル版では改変されて「いつのことか分かるでしょう?」となっていますね。

これは、ミュージカルの主人公ソフィの母親・ドナが、その昔サムという男性に裏切られて失恋したという具体的なエピソードがあったため。

"cheat"は「チート」というカタカナ語にもなっていますが、「裏切る、だます」という意味の動詞。恋愛の話題だと「浮気する」という意味にもなります。

 

次に"Just one look and I can hear a bell ring"というフレーズについて。

これは直訳すると「一目みただけでベルの音が聞こえる」とでもなりましょうが、"ring a bell"というイディオムが「記憶を呼び起こす」という意味になるので、それに通じて「(あなたを)一目見ただけで、あの日の恋心が呼び起こされる」というような意味かと解釈しております。

 

そしてサビ部分の"Here I go again"ですが、これは"Here you go again."という成句がもとになっています。

愚かなことを繰り返す相手に対して「あーあ、またやってるよ」と呆れた気持ちを表現するフレーズです。

つまり、これはドナが客観的に自分を見て「あーあ、私ったら、昔フラれた男にまた燃えあがっちゃって」と呆れながらも、その恋心に抗えない…という心情が表れているところなのですね。

ちなみにこのフレーズは、映画版"Mamma Mia!"の続編の副題"Here We Go Again"のもとにもなっています。

 

ミュージカルのタイトルにもなっている"Mamma Mia"というフレーズはイタリア語で、直訳すると「私のお母さん」ですが、英語の"Oh my God!"と同じ意味です。

英語は「神様」だけど、イタリアでは「ママ〜!」なんですねえ。任天堂スーパーマリオを思い出した方もおられるでしょうか。

このすぐ後の"my, my"というのも同じような意味で「ああ、なんてこった」みたいなときに使われます。

 

次の"I should not have let you go"というフレーズには仮定法が使われていますね。

"should have +過去分詞"で「〜すべきだった」という過去への後悔を表す意味になります。

ここではその否定形が使われているので「あなたを手離すべきではなかった」となりますね。

 

続いて、"when I knew we were through"というフレーズ。

"through"は副詞で「通り抜けて、貫いて」という意味ですが、ここでは「(恋が)終わって」という意味で使われています。恋が過ぎ去って行ってしまうイメージですね。

"cry over 〜"は、成句としては辞書に載っていませんでしたが、前置詞"over"に「〜について、〜をめぐって」という意味があるので、「あなたを想って泣く」というような意味になるかと思います。

 

あとは同じフレーズの繰り返し。

 

では、こんどは日本語の歌詞を見てみましょう。

 

【日本語詞】

覚えてるわ あの裏切り

傷だらけで 耐えた日々を

 

*

でも今 この心

乱れる あなたを一目見ると

どうしたらいいの

あの苦しみ忘れて

体中燃えてくる あぁ あぁ

 

Mamma Mia  あなたを見て

もう 震えてるの

Mamma Mia  抑えられず

もう 求めてるの 

 

深い傷負い

別れたあの日

でも すぐ気がついたわ

Mamma Mia 戻ってきて

どうか 行かないでほしい

*

 

あの悲しみ あの裏切り

泣いて 泣いて 耐えた日々を

 

*繰り返し

 

 

うーん。

何というか、だいたいの意味は同じなのですが、日本語のドナの方がちょっとメソメソしてる感じがありますね。

男にすがりついてるというか、受け身というか…。

「DV夫と別れられない妻感」がひしひしと…。

(まあ、元の歌詞もたいがいDV夫っぽいんですけどね…)

 

「どうか 行かないでほしい」

"My my, I should not have let you go"(なんてこと、あなたを手離すべきじゃなかった)

 

英語のドナの方が、主体的に恋をしにいっている感じがします。

でも、言葉の制約がある中でうまいこと訳してるな〜とは思います。(←何様やねん)

 

今度はスペイン語の歌詞。

 

スペイン語詞】

Yo por ti me engañe, hace tiempo lo sé(あなたに騙されてきたの、いつからか知っているでしょう)

Y ya lo decidí, ahora te dejaré(だからもう決めたの、今あなたと別れようって)

 

*

Mírame bien, cuándo aprenderé(私を見て、いつになったら学ぶのかしら)

No sé por qué, vivo tanto esta gran pasión(なぜかわからないけれど、こんなに大きな情熱を生きてる)

Que me quema el corazón(心が燃えあがっているの)

 

Si me miras siento tanto placer(あなたに見つめられると大きな喜びを感じる)

Si te acercas creo desvanecer, woah(あなたに近づくと気を失いそう、ああ)

 

Mamma mia, una y otra vez(マンマミーア、何度も何度も)

No sé, cómo resistirte(わからない、どうしたらあなたに抗えるの)

Mamma mia, quiero y tú lo ves(マンマミーア、あなたにもわかってほしい)

No sé, como evadirte(わからない、どうしたらあなたから逃げられるの)

 

Tú que me has provocado(あなたが誘惑してきたのに)

Luego me has rechazado(その後、私を拒絶したの)

¿Por qué te sigo queriendo así?(なぜこんなにあなたを求め続けてしまうの?)

Mamma mia, ya lo decidí(マンマミーア、もう決めたわ)

Porque, no puedo vivir sin tí(何故なのかしら、あなたなしでは生きられない)

*

 

Tú me has hecho enojar con tu modo de ser(あなたは私を傷つけた、あんなやり方で)

Y quisiera olvidar tantas cosas de ayer(忘れたかったの、そんな過去のことは)

 

*repeat*

 

 

訳は、少し自信がないところもあります。(最後の連はこんな訳で良いのだろうか…)

でも、やはりさすがラテン言語というか、英語のドナよりも更に情熱的な感じがしますね。

「あなたなしでは生きられない」なんて…。そこまで言ってないよ〜的な。(笑)でもスペイン語だと、こういう極端な言い回しもしっくりくるような気がします。

 

一行目より、"me engañé"は「裏切る」という意味の動詞"engañarse"の点過去・一人称単数形。

これだと「私が裏切った」という意味にとってしまいそうですが、"por tí"(あなたによって)がついているので「あなたに裏切られた」という意味でよいのかしら…。(そうしないと歌詞の意味がとおらない…)

"dejaré"は動詞"dejar"の点過去・一人称単数形、「残しておく」という意味が元ですが、ここでは「(恋人と)別れる」という意味で使われています。

 

第二連の三行目、"me quema el corazón"は"quemar"(燃やす、焼く)の三人称単数形が使われていて、「私の心臓が燃やされている」というような意味でしょうか。

 

その次の"si me miras"は"mirar"の二人称単数形なので「あなたが私を見るとき」。

スペイン語は主語が省略されるので、動詞の活用形を見て瞬時に主語(あなた)を連想しなければならんのだなあ。

更に次の行の"siento"は動詞"sentir"(感じる)の一人称単数形。

ちなみに「座る」という動詞"sentar"も一人称単数が全く同じ"siento"なので要注意。

 

"desvanecer"というのは「散る、一掃される、消える」という意味の動詞ですが、ここでは「気を失う」という意味で使われています。

 

続いて、サビの"Mamma mia"の後の"una y otra vez"について。

西和辞典の成句検索では「長々と、しつこく」と出てきましたが、要は「何度も繰り返して」という意味に解釈すればいいのかしら。"vez"が「〜回」を表す語だし。

ここは英語詞と同様、「あなたに傷つけられながら、何度も恋に落ちてしまう」ということを表現しているわけですね。

 

サビ4行目の"evadir"というのは「逃げる」という意味の動詞です。

 

その後の"Tú que me has provocado"については、なぜ"que"が挟まっているのか謎なのですが(ない方が意味が通る文になるので)、この"que"は「まさにあなたが」という強調の意味をつけたす役割を担っているのかな、と思っています。

 

"me has rechazado"は「拒絶する」という意味の動詞"rechazar"の二人称単数、現在完了形で「あなたは私を拒絶した」となります。

 

サビの後一行目の"enojar"は「怒らせる、感情を傷つける」。

"con tu modo de ser"というのはどうも訳しづらいですが、成句検索してみると"con esos modos"で「そんなやり方で」というのがヒットしたので、これと似たような意味で「あなたのいつものやり口で」とでも解釈すればよいでしょうか。

 

次に"quisiera olvidar"ですが、ここで初めて接続法過去形(querer→quisiera)が出てきました。

接続法過去形は「控えめな願望」を表すので、ここでは「できれば忘れたい」というような意味かと思います。

その後に"cosas de ayer"と出てきますが、ここでの"ayer"は「昨日」ではなく「過去、昔」という意味で使われています。

 

後の部分はサビなどの繰り返しです。

 

 

こうやって歌詞分析をしてみると、スペイン語の知識がまだまだ少ないので、断言できないことばかりでモヤッとしますね…。もっと勉強しないとなあ。

でもやっぱり、似たような内容でも言語によってなんとなく雰囲気の違いが出ますね。それぞれの登場人物の性格も違って見えるようで、おもしろいです。

 

というわけで、次回以降も引き続き、英語とスペイン語で"Mamma Mia!"の歌詞を分析してまいります。

ではまた、願わくば近いうちに…。お会いいたしましょう〜。