かあさんは雨女

語学と育児、その他いろいろ。

日本人の働き方のヤバさ、公立学校教員の視点から。〜その②〜

こんにちは。

さっそく昨日の記事の続きを…といいたいところですが、とんでもないニュースを発見してしまったので、こちらを先に言わせてください。

 

夏休み16日に?母親からは賛否 | 2017/7/15(土) 19:43 - Yahoo!ニュース

 

〈以下、記事からの引用〉

吉田町教委の教育改革…町立小中学校の教員の多忙化を解消し、授業の準備時間などを確保することで質の高い教育を提供するのが狙い。夏休みを中心に長期休業を大幅に減らして授業日数を増やし、1日当たりの授業時間数を減らすのが特徴。2017年度の夏休みは24日だが、18年度は16日程度に短縮する方向で検討を始めた。

 

えーっと、夏休みを大幅に減らし、授業を増やすという動きだそうです。

まずこのニュースを見たとき、私は「うわぁ…更に先生が忙しくなるのか…」と暗澹たる気持ちになったのですが、本文には「教員の多忙化を解消(略)するのが狙い」とあります。

 

まったくもって意味不明です。

 

授業のない夏休み期間は、教員にとって、定時で帰れる数少ないチャンスです。

授業がないことで、昼間の時間を使ってゆっくりと書類仕事を片付けたり、普段できない教材研究をしたり、研修を受けに行ったりと、変な言い方ですが、勤務時間を使って仕事することができるのです。イレギュラーな生徒指導案件(生徒のケンカとか、いじめとか)が勃発する心配もありません。夏休みバンザイ、です。授業期間中には取得しづらい有給休暇を取れるチャンスでもあります。

それなのに、これまで夏休みだった期間に授業を詰め込むとなると、上に書いたような仕事をまた勤務時間外にやらねばならないことになります。教員の長時間労働を助長する施策に他なりません。

 

様々な事情で夏休みを縮める必要があるのなら、検討することは結構ですが、そこにもっともらしく「教員の負担軽減」などとウソっぱちを書かないでいただきたいものです。

 

 

さて、前置きが長くなりました。

日本の教員の働き方のヤバさについて、話をしています。

昨日は、授業準備以外にしなければならない業務の多さについて語りました。今日は、部活動と教員の待遇についての話、そしてこのメチャクチャな現状を打開するためのハチャメチャな解決策を示してみます。

 

②休日が部活動や地域の奉仕活動で潰される

 

教員のお仕事の中には、昨日書いた様々な業務とは別に、言わずと知れた部活動がありますね。この部活動、平日は18時頃(夏季)までやることが普通です。試合前になると、延長して18時30分終了になったりもします。教員の勤務終了時間は16時45分なので、部活動の監督をしているとそれだけで時間外労働になっちゃうわけですが、特に手当は出ません。

手当が出ないなら監督する必要ないじゃないか…と思われるかもしれませんが、部活動中に生徒が事故やケガ、トラブルなどに遭った場合、顧問が監督責任を問われます。実際には、部活をしている生徒を放っておいて職員室で仕事をしている先生も多いですが、私は自分の監督下にいる生徒がケガをしたり、いじめが発生したりするのが怖くて、常に部活に張り付いていました。ですが、これも教員による自主的な行動とみなされ、勤務にはあたらないわけです。責任が発生するのに、勤務ではない。頭がこんがらがってきます。

 

話がそれましたが、休日の部活について。休日に実施する部活動については「部活動手当」がつきます。なーんだ、お給料出るんだ…と安心してはいけません。これは自治体によりますが、この部活動手当には上限があります。だいたい3000円くらいのところが多いようで、昨年12月に「上限を3600円にする」というニュースが出て話題になりました。

手当が増えて嬉しい? とんでもないです。これは、「1日に、どれだけ長く働いても3600円しか出さない」ということなのです。部活動を1日中やったり、生徒を試合に連れていったりする場合、朝から晩まで12時間つきっきりということもままありますが、こういう日の場合、時給300円になる計算です。雀の涙どころか、ミジンコの涙くらいの額ですね。最低賃金などどこ吹く風です。

 

こういった、いわゆる「ブラック部活」問題に対しては、「部活顧問を拒否できる権利を!」という署名運動(クリックすると署名サイトに飛びます。詳しくは後述)があったり、「休日には部活をやらない」という考え方が広まってきたりしています。嬉しいことです。ただ、それでもまだ、保護者からの要望があったり、これまでの慣例を破れないなどの理由で、多くの教員がこの問題に悩まされています。

 

「ブラック部活」解決策の一つとして、長年実施されている「外部コーチ制」や「複数顧問制」というものもあります。文字通り、部活を専門にみてくれるコーチを配属したり、各部活に顧問を複数配置したりして、顧問の負担を軽減しようというものです。

しかし実際には、こういった制度が形骸化してしまっている現実があります。私が配属された中学校で、上記の制度を2つとも採用しているところがありましたが、実際には「外部コーチが、教員に部活に来ることを強制する」「複数顧問がいても、片方の顧問が自主的にずっと部活に参加しているため、(特に上下関係があったりすると)もう片方の顧問も休みづらい」「逆に、一切部活に来ない顧問がいて、もう片方の顧問が負担をすべて担わざるを得ない」など、いびつな状況が発生していました。特に外部コーチ制は、アルバイト扱いで勤務可能日数にも上限があり、つまるところ待遇が悪いため、ボランティア感覚で来ている暇なおじさんみたいなコーチばかり集まってしまい(失礼…まじめにやっている人もいますが)優秀な人材が集まり辛いというのが実情のようです。まあ、これも自治体によるでしょうけれど。

 

この他にも、地域でお祭りがあれば見回りをし、夏休みには夜間パトロール、地域の古紙回収事業への参加など、無償で労働を求められることがとても多く、こういったことに休日をどんどん潰されていきます。

 

③上記のように仕事量が多いにもかかわらず、残業代はゼロ

 

はい。ここまで、教員の重〜い業務負担について書きました。最後にお給料の話をします。

結論から言うと、教員に残業代はありません。どれだけ夜遅くまで残って働いても、基本的には、8時15分から16時45分までのお給料しか出ません。

 

「基本的には」と書いたのは、例外があるからです。教育公務員には、「教職調整額」という特殊手当があります。かいつまんで言うと、教員は特殊なお仕事で、例外的に残業することがあるから、あらかじめ基本給に上乗せして支払われる手当です。

 

その額は、基本給の4%。

 

繰り返します。4%です。

1日の勤務時間に換算すると、18.6分

これ以上の手当は、支払われることがありません。

つまり、いくら超過勤務があっても、教員は17時4分には帰れるだろうという前提のもとで、決められた制度です。この18.6分分の調整額を支払うことで、いくら残業しても、教員の労働力は定額使い放題。これ以上のお給料が支払われなくても「自主的に」遅くまで残って仕事をしてくれる、とっても便利な存在だと思われているわけです。

 

もうひとつ付け加えると、上記の「教職調整額」については、その対象となる時間外労働の内容が限定されています。

以下、中央教育審議会の文書(クリックすると全文が見られます)より引用します。

 

①教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとすること。

②教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

 

つまり、

1、実習や修学旅行などの特別な行事

2、職員会議

3、非常災害や緊急事態

 

これ以外の時間外勤務は、してはならない、命じてはならないと、文部科学省が明記しているのです。

ですが、これまでに書いてきた通り、実際に発生する時間外労働はほとんど上記以外のものです。日本の公立学校教員たちは、このように想定されていない時間外労働を、業務命令ではなく自主的に、好きこのんでやっているから、手当を支払うに値しないと判断されているのです。

 

以上、2回に分けて書いてきました。日本の公立学校の教員の働き方のヤバさについて、少しでも知っていただけたなら幸いです。

自分の経験について、勢いに任せてずいぶん赤裸々に書いてしまいました。公務員の守秘義務違反にはあたらないと思うのですが、私はまだ在職中ですので、バレるとまずいかもしれませんね。わはは。まあ本当にあったことを正直に書いただけですので、悔いはありません。

 

さて、ここで終わってしまうと、ただの一教員のグチに終わってしまうので、現状を打開するための解決策を以下に提示しておきます。

 

この「教員の長時間労働」を解決する手段。

ものすごく極端な、それでいてシンプルな手段をここに提示します。

 

それは、教員が、勤務時間におさまらない仕事を一切やらないこと

 

「あいつら好きで居残って残業しているんだから、残業代払う必要なんてアリマセーン」と言われるのなら、もう本当に残業なんかせずに、16時45分にみんな帰っちゃえばいいんです。

 

部活? そんなの知りません。業務命令じゃないんだし。

アンケート? 知りません。こなせない量の仕事を振るのが悪いんだから。

授業? 生徒が帰ったあとの45分間しか、準備に充てませんよ。ろくに準備ができなくたって、勤務時間が終われば家に帰ります。生徒の前で教科書をただ読むだけの授業にすれば、準備なんかいらないんだし、ね。

 

こうやってみんなが、与えられた時間でできる仕事しかしなくなれば、当然のように、学校は荒れます。授業の質も下がり、日本の子どもたちの学力も下がりますね。何とかしなければならない。ここで、行政がまともな判断をするのであれば、教員の待遇を上げなければならない、ということになるわけです。教員や事務職員の数を増やし、残業をしたときはきちんと手当をつけ、勤務時間内だけでも充分なパフォーマンスが出せるように制度を変えていかなければならない。

 

ただ、太字で書いてしまったのですが、これを実際にしたところで、行政がまともな判断をしてくれるかどうかがわかりません。そして、いわゆる「世間様」がこの現状を見て「教員がまともな仕事をしていない!」「給料泥棒!」というようなバッシングをしてしまいかねない(というか、現時点でもこういった言葉が頻繁に聞かれます。悲しいことです)。ここが、日本の「働き方」に対する考え方の歪みだと思うのです。

 

そして何より、全国の教員たちが上に書いたような強硬手段に出ることができないのは、目の前の生徒を放っておけないからだと思うのです。自分たちの待遇改善を求めて行動を起こせば、その皺寄せは生徒が被ることになる。自分がいま担当している生徒たちに、どうやって賢くなってもらうか、生きる力・考える力をつけて社会に出てもらうか、それだけを考えて教員になったのです(そうでない人も、いるかもしれませんが…)。だから、勤務時間外だろうが、無茶なスケジュールだろうが、いい授業をつくるために毎日遅くまで残って、働いているのです。

 

私は、このような状況のことを「生徒を人質にとられている」と表現します。

 

そして、その生徒のために無茶な働き方をすること、朝早くから夜遅くまで休みもなく働くことが「美しい」とされる世の中。「先生なら、それくらいして当たり前でしょ」。よく言われる言葉です。ですが、その「当たり前」のために、多くの教員が毎月100時間を超える時間外労働を余儀なくされ、私生活を犠牲にせねばならず、ひいては精神疾患や過労死に追い込まれているのが現状なのです。

 

「先生がきちんと働けていないのなら、待遇を上げなければならない」。

 

世界では当たり前の考え方ですが、これが日本ではあまり共有されていないこと。

このことが、最も大きな問題だといえるかもしれません。

 

さて、夢も希望もないようなことをつらつらと書いてきましたが、嬉しい動きもあります。

全国の教員たちが立ち上がって、待遇改善に声を上げ始めているのです。

2つの署名活動があります。私も微力ながら参加していますが、以下にリンクを貼っておきます。

 

部活問題 対策プロジェクト

「教員にも、部活動顧問に参加しない権利を」という趣旨のプロジェクト。教員の負担だけでなく、強制的に入部させられる生徒側の負担にもスポットを当てています。

 

教職員の働き方改革推進 プロジェクト · Change.org

こちらは「教職員の時間外労働に上限規制を設けてほしい」という趣旨のものです。

 

こういった動きがあるのは、本当に喜ばしいことですし、忙しいなかでこのようなプロジェクトを立ち上げてくださった先生がおられるという事実に、本当に頭が下がる思いです。

もし、このブログを読んでくださっているあなたが、この記事に少しでも共感してくださったなら、上記プロジェクトにも応援の手を差し伸べていただければと思います。

 

たいへん長くなりましたが、教員の働き方について、私が思うことを述べてきました。

 

一応ことわっておきますが、これまでに書いた学校現場での事例はあくまで私の経験にもとづく描写です。学校によって、自治体によって、地域によって学校の方針は変わってきますので、「こんな学校ばかりじゃないよ」という意見があれば、それはもっともだと思います。ただ、こういう現場もあるんだということを、わかっていただきたかったのです。

 

さて、ものすごく真面目な話になっちゃいましたが、次回からはまた、お気楽にロシア語学習の話をしていきたいと思います。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

では、またお会いしましょう。

日本人の働き方のヤバさ、公立学校教員の視点から。〜その①〜

こんにちは。

今回は語学の話はお休みして、気になった話題を取り上げてみます。

 

www.from-estonia-with-love.net

 

日本の労働者の働き方のヤバさ。

私も常々気にしているテーマだけに、色々と考えさせられました。今回は、日本で働く公立学校教員(育休中ですが)としての視点を交えて、この問題について考察してみます。

 

この記事の内容についてはリンク先を読んでいただきたいのですが、かいつまんで言うと、「欧州諸国の人々にとって日本人のイメージはもはや、低賃金で長時間労働でも喜んでていねいな仕事をしてくれる、便利な労働力というもの」だという主張。この記事によると、アメリカに住んでいる人も日本に対して同じイメージを持っている、ということですが、短期とはいえオーストラリアでの生活を経験したことのある私としても、おおむね同じ意見です。

欧米を含む諸外国(乱暴なくくりですが、日本以外の多くの国がそうだと思うので、あえてこの言い方をします)では、

 

「働くときは、給与や待遇に見合った働き方をする。ていねいな仕事をしてほしければ、待遇を良くしなければならない。」

 

というのが常識です。ところが日本では、

 

「給料が低かろうが、待遇が悪かろうが、仕事に対して手抜きをしてはならない。生活が苦しくても、残業が多くて辛くても、我慢して働き続けるのが素晴らしいこと」

 

という考え方が一般的です。その結果、無理な働き方をして精神を病んでしまったり、過労死をする人が後を絶たず、社会問題になっていますね。

 

また、日本では「休みを取るのは悪いこと」というような発想もまだまだ根強いです。欧州諸国だと、従業員に有給休暇を全て消化させないと企業に対して罰則がでたり、週あたりの労働時間上限(だいたい40時間?)があって、それより多く働かせてはならないという法律があったりしますが、日本ではそのあたりがガン無視されています。私も教育現場で働いていて、有給休暇が確か年20日ありましたが、一年目は休暇の取り方もよくわからなくて一年間で0.5日しか取りませんでしたし、その後も年5日も取っていないと思います。

 

更に、日本では「体調を崩したりしたときに困るから、有給を残しておく」という人も多いですが、欧州では「カゼをひいて休む」などというときに有給を消化するのはおかしいので、有給とは別に病気休暇(その間も給与は満額支給)が設定されている場合がほとんどだそうです。日本の会社では、なぜか「カゼをひくのは自己責任だから、有給を使って休む」とか、さらには「カゼをひいても、休むと迷惑をかけてしまうから、無理して出社する」みたいなケースも多いですよね。そこまでして「頑張って働かないといけない」というような、強迫観念のようなものすら感じます。

 

また、多くの自治体では女性の職員に「生理休暇」というものを与えています。文字通り、月一回、生理が重い日には休んでもいいよ、というもの。ただ、私はこの「生理休暇」というものを使ったことがないし、使っている人も見たことがありません。休みを取ったって周りに負担がかかるし、その日の仕事を別の日にやらなきゃいけないだけだから、意味がないんです。ですが、休暇を与えている側としては「休暇があるのに、あいつら使わないで勝手に仕事してら」という理屈になるわけです。休暇があるなら、きちんと使われているか確かめるのも役目のうちなのに、です。おかしな話です。

 

ここで、日本の公立学校業界の話をします。

もう広く知れ渡っていることですが、日本の公立学校は、とんでもないブラック労働を教員に強いています。まさに、上記リンクで触れられている「日本の労働者の働き方のヤバさ」を代表するものだと思います。以下にその理由をつらつらと挙げてみます。

 

 

①授業作り以外の業務量がものすごく多い

 

教師の仕事の本分は、授業です。子どもに勉強を教えたいから教師になる。当たり前の発想ですよね。私も勉強が大好きで、学ぶことの楽しさを子どもたちと共有したくて教師になりました。

ところが、実際に教育現場で働いてみると、とにかく授業や授業準備以外の業務量が多い。とてつもない量です。

先に教員の勤務時間を示しておくと、私がいた学校では、8時15分開始、16時45分終了でした。1日の授業が終わり、掃除やショートホームルームを含めて、生徒が下校するのは16時前後になることが多いですが(このあと部活が始まるのはまた別のお話)、残り45分ではとうてい終わらない量の業務が次から次へと押し寄せます。

(そもそも、この45分で明日の授業の準備をしろというだけでもムチャな話ですが…)

以下にその例を挙げます。

 

教育委員会から無数に降ってくる各種調査

「中学生の生活習慣に関するアンケート」「いじめアンケート」「薬物濫用に関する調査」…などなど、とにかく「お上」から降ってくる調査書類がものすごく多いです。こういうアンケートが降ってくるたびに、ホームルームで生徒に配布して答えさせ、それを集めて各項目ごとの答えを集計し入力。自由回答のものがあれば、それも一言一句残らずパソコンに打ち込み。これ、すべて教員の仕事です。教員自身に色々聞いてくるアンケートも含めると、本当に膨大な量です。事務員は、私の経験では各校に1人か2人しかいないことがほとんど(中学の場合。高校はもう少し多いかも)で、いつも学校全体の事務処理に追われておられるので、とても頼むことなどできません。

また、中学3年生になると、年に何度も進路希望調査が行われますが、第1希望〜第3希望まで、全ての生徒についての情報を入力し、志望校ごとの一覧表を作成したり、成績順に並べ替えて資料を作ったりするのも、すべて教員がやります。こういう作業が立て込んでくると、「私はホッチキスを留めるために教員免許をとったのだろか…」と、本当にむなしい気持ちになってきます。

 

・長引く会議(特に行事前)

学校には職員会議というものがあります。これは勤務時間内に終わるよう設定されていることが多いですが、上に書いた生徒下校後の大事な大事な45分間を、ここで使い切ってしまうわけです。終わったらすぐ退勤〜♪というわけにいかず、そのあとで、ここに書いたその他もろもろの業務に追われていくのです。

 

このような定例の職員会議は、だいたい月に1回程度だと思いますが、これ以外にも色々な会議があります。特に多いのは学年会。学年ごとに、直近の行事について話し合ったり、生徒指導案件を共有したりする会議です。特に修学旅行や林間学校などの前(といっても半年くらい前から計画を始めることが多いので、常に何かしら行事の話をしているわけですが)には、班別学習でどの班がどこを回る予定かとか、どの生徒がアレルギーを持っているからどの食事でどの食材を除去するかとか、新幹線の座席をどのように配置するかとか、こういう細か〜いことを繰り返し繰り返し議論します。

私はまだやったことがないですが、宿泊行事の担当者になっちゃったりすると、本当に悲惨です。忙殺されます。学校によっては百人以上の生徒を抱える大旅行について、旅行会社の担当者さんと打ち合わせをし、綿密な計画を立てるという責任が両肩にのしかかってきます。教員は旅行エージェントまでやらなきゃいけないのか?と目を疑うばかりの仕事量で、授業なんかそっちのけで宿泊行事成功のため、全力を注がなければなりません。

 

この他にも、「○組の○○さんがガムを学校に持ってきていた」とか、「×組の××君がゲームセンターに入り浸っていて地域から苦情が来た」などといった雑多な話題もいちいち持ち出して、どのように指導していくかを学年で話し合わなければなりません。本当に、勉強だけ教えさせてくれよ…とため息をつきたくなるような事例が絶えないのです。

 

・存在しない昼休み

公立学校教員は地方公務員です。当たり前ですが公務員にも労働規定はあり、1日の労働時間のうち45分の休憩時間を確保しなければなりません。これ、書類上では「昼休憩」としてしっかり設定されているのですが、実際には教員に昼休みは存在しません。昼休みは昼食指導といって、生徒がお弁当や給食をお行儀良く食べているか、目を光らせなければなりません。担任を持っていなくても、給食準備や片付けで生徒がきちんと係分担できているか、廊下でトラブルが起こらないか、見張っていなければならないのです。自分の分の昼食は秒でかきこみます。その昼食すら、生徒同士のケンカの仲裁や他の業務の消化などで、満足に取れないこともあります。

 

また、生徒には昼休みがありますが、この昼休みの時間に教員が休憩できるわけではありません。昼休みを利用して生徒が部活をしたり、委員会を開いたりする場合、教員はそこについて監督しなければなりません。また、昼休みは、生徒が学校生活で最も開放的な気持ちになる時間。言い換えれば、ケンカや小競り合いなどの問題が起きやすい時間でもあります。生徒が学校で何か問題を起こすと、それはすべて教員の責任ということにされてしまうので、ここでも教員は「自主的に」廊下に張り付いて生徒を見張っています(別に怖い顔をしているわけではなく、生徒と談笑したり教室で仕事をしたりして、生徒のそばに極力いるようにします)。

 

「そんなことまでしなくても、職員室で休んでてもいいやん…」と思われるかもしれませんが、昼休みに教師のいない教室でイジメでも発生しようものなら「どうして先生が見ていてくれなかったんですか!!」と各方面からクレームが押し寄せること必至なのです。世知辛い世の中です。教員たちは、生徒を、そして自分の身を守るために、「あくまで自主的に」昼休みを犠牲にしているのです。

 

・書類を作るときの「謎の表記ルール」

教員は公務員なので、公的な書類を作成することもあります。たとえば、指導要録といって生徒一人ひとりの個人情報を記載した書類や、高校入試のときに提出する調査書、教育委員会の偉い先生方に見てもらう研究授業の指導案(授業の設計書のようなもの)、などです。

こういう書類を作成して管理職に提出、チェックをもらうわけですが、そのときに本っ当〜にどうでもいい、細かい細かいルールに則って書き直しを命じられることが多いのです。たとえば、「この生徒は『英検3級』取得と書いているが、こちらの生徒は漢数字で『英検三級』になっている。どちらかに統一せよ」とか、「段落はじめの一字下げる部分が、五行目のココだけ半角になっている。体裁を整えよ」などなど。自治体によっては、漢字の使い方にもいちいちルールが決められていて、「〜すること」の「こと」を漢字で「事」と書いてはいけないとか、そんなこと内容に関係ある!? とウンザリするようなルールが山ほどあります。こういうルールが厳守されることで、チェックする側も、される側も、本当に無意味に神経を磨り減らされます。いったい何のために、誰のために…と自問自答する日々です。

 

・ペンキ塗りや花の水やり、そうじなどの「自主的な仕事」

これは教員の仕事を始めて本当に、本当にびっくりしたのですが、校舎の壁のペンキを塗るのも教員の仕事なのですよ!! 信じられますか? まあ学校によるでしょうけれど、私のいた学校はそうでした。年に1回、汚れた校舎の壁を、感謝をこめて真っ白(他の色のこともありますが)に塗る。このペンキの調達、ローラーやハケの掃除、マスキングテープの調達まで、すべて教員の仕事でした。もう教員の仕事をバカにしてますよね。

 

他にも、特に若手教員に対してですが、鉢植えの花に水をやったり、朝ほかの先生よりも早く来て職員室を掃除したり、といったことを「やらなければならない」という空気があります。もう、こうなると教員でも何でもない、ただの何でも屋さんです。一応言っておきますが、用務員さんはいますよ。でも、この用務員さんに先駆けて若手教員がやるのが「えらい」そうです。私にとっては、用務員さんの仕事を奪っているようにしか見えませんでしたし、勤務開始より早く学校に行くなんて嫌だったのでやりませんでしたが、やってる若手さんがほとんどでした。毎日お疲れさまです。

 

・その他、生徒指導事項

とある事例を紹介します。

勤務時間もとっくに終了した19時。当然のように職員室に残って仕事をしていると、警察から電話がかかってきます。いわく、「そちらの学校の○年○組の○○君が、コンビニで万引きをした」とのこと。こういう電話を受けたら、担任は「へえ、そうですか。教えてくださってありがとうございます」というわけにはいきません。速攻で現場に向かい、指導にあたります。もちろん親にも連絡がいきますが、勤務時間外であろうが、たとえ深夜であろうが、学校も連絡を受けたからには現場に向かわなければならないという謎ルール。生徒と一緒にお店に謝り、警察に謝り、保護者(現場に来てくれないようなネグレクト保護者だったらなお悲惨)と共に生徒を叱り、家に帰し、学校に戻り、学年主任と管理職に口頭で報告をしたのち、報告書を作成し、管理職にチェックを受けるまでがお仕事です。で、ここから明日の授業の準備が始まるわけです(ひえ〜)。

 

万引きの他にも、生徒が家出をすれば保護者と一緒に探しますし、不登校の生徒がクラスにいれば、定期的に家庭訪問をして様子を確認します。いじめで生徒同士がもめれば保護者も交えて学校で話し合いをします。「上履きが隠された」という生徒と一緒に校内をくまなく探しまわったことも数知れず。現代の生徒さんはスマホを持っている子が大多数で、またその大部分の子がLINEをしているので、LINEで仲間はずれにされた、悪口を言われたという事案も後を絶ちません。こういったことが発生すると、携帯電話の中だけで起こったことの事実確認をするという禅問答に近いことをしなければならず、またその都度、学年主任や管理職、ひいては教育委員会につぶさに報告しなければならないので、ものすごく疲弊します。でも、これをやらないと「いじめを隠蔽した!!」とバッシングされますからね。何度でも言いますが、世知辛い世の中です。

 

ずいぶん長くなりましたが、ここまでが「教員の働き方のヤバさその① 授業作り以外の業務量がものすごく多い」です。

 

「授業の空き時間に仕事すればいいんじゃ?」という声もあるかと思いますが、私の経験ではそれでも足りないことが多く、また先生によっては「授業がぎゅうぎゅうに詰まっていて空き時間がほとんどない」という状況もあります。それと、学校によっては空き時間の教員で校舎の見回りをするというルールを設けていることもあるので、忙しさに変わりはありません。

 

こういった忙しさ、仕事内容のハードさから、全国で毎年約5000人の教員が、精神疾患のため休職に追い込まれています。異常です。が、現時点では、ほとんど何の対策もなされていません。

 

さて、ここから「教員の働き方のヤバさその②」に続きますが、ものすごく長くなったので今日はここまでにします。明日は、部活動や教員の待遇についての話をします。

 

では、おやすみなさい。 

 

次の記事はこちら↓

日本人の働き方のヤバさ、公立学校教員の視点から。〜その②〜 - かあさんは雨女

ロシア語能力検定試験3級、合格しました。

ママ友あるある 〜その1〜

赤ちゃんサークルなどで出会った赤ちゃんがママさんにそっくりだなぁと思って「ママ似ですか?」と訊くと、「いえいえ〜、この子は父親にそっくりなんですよー」と言われ、ご夫婦もそっくりなんだろうなぁ…と微笑ましくなる。

 

こんにちは。またまたご無沙汰いたしました。

ちょっとした育児の小ネタを挟みながら、マイペースに語学オタクの生活を綴っております当ブログ。

おかげさまで累計ページビューが1000を突破いたしました!ぱちぱちぱち!!

こんな、いつ更新されるかもわからんブログを覗いてくださって、まことにありがとうございます。今後とも、好きなときに、好きなことばっかり書いていきますが、どうぞよしなに願います。

 

さて、いつのまにやら夏本番ですね。

検定シーズンが終わって次の学習目標も決まり、さて次は何を書こうかな〜、と考えているうちに、ロシア語能力検定試験の結果が返ってまいりました。

 

結果は、合格!

 

ブログに画像貼り付けるの初めてですが、うまく載るかな?

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※プライバシー保護のため、証書番号や個人情報は消してあります。なんだか、「みほん」みたいですね。

 

受検記にも書いたとおり、今回はあまり自信がなく、じりじりしながら結果発表を待っていただけに嬉しい報せでした。

ただ、点数の内訳と講評を見る限り、反省点もたくさん…。

 

 

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なんとなんと、最も自信のあった文法よりも、和訳のほうがよくとれていました。聴取満点は、まあ手応え通りです。

 

そして、いちばん驚いたのは…。

和文露訳!

ぜんぜん出来なかったので、足を引っ張るならここだろうと思っていた(露検は全分野で6割以上とれないと不合格)のですが、なんと8割以上も点数をいただいていました。

スペルミスや完了体・不完了体、時制のミスがたくさんあったはずですが(後で調べたら間違いだらけだった)、単語自体が書けていたので得点をくれたのでしょうか。このへんは採点基準に左右されそうです。

 

そして、朗読。ギリギリすぎるやろ…。合格点ぴったり。危なかった。。

講評(個人ではなく受検者全体の傾向)によると「全体にリズムとイントネーションの意識が希薄」であり、「アクセントが置かれている母音は強く、長く発音され」ることを意識すれば発音は向上する、とのこと。ただ、ロシア語の発音はこのアクセントが曲者でして…。同じ語でも、複数形になったり格変化したりすることで、法則性なく気まぐれにアクセントが移動しちゃったりするのです。つまり、一つの語につき数パターンのアクセントを記憶していかなければならないわけ。

解決策としては、なるべくたくさんのテキストを(それも正しい発音で吹き込まれた音声を)耳に入れていく、という地道な作業を繰り返すしかないのですね。ロシア語で会話する機会を日常的に持てない限りは、本当にこれ以外の道が存在しないのですが、まあラジオやCDつき教材などを使って頑張ってまいります。

ひとまず、今回うかってて良かった…。

 

これで心おきなく、次なる試験・ТРКИの準備に取りかかることができます。

 

次回以降は、先日取り寄せたТРКИの教材(本屋には売っていない)についての紹介と、それからロシアの愛らしいアニメ「チェブラーシカ(1969年版)」のDVDを使った学習法を実践してまいります。

スペイン語や英語の話も、これまで通り、折に触れて。気が向いたときに。

 

では、またお会いしましょう。

ロシアのバーガーキング広告を逐語訳してみた。

こんにちは。

生後10ヵ月の娘・おタマを連れて街を歩いていると、色んな方が「あらっ、かわいいわね〜」と声をかけてくださいます。私としても おタマはたいへん可愛いと思っているので、ついつい、

 

「私もそう思います!」

とか、

「ええ、私が産みました(キリッ)

 

と言いたくなるのをぐっとこらえて、ニコニコと受け答える日々です。

でも、改めて…「可愛いわねえ」と言ってもらったとき、何と答えるのが良いのだろうか? と、今日ふと考えてしまいました。いつもは「ありがとうございます」と言っているのですが、別に私が褒められたわけじゃないしなあ。「えへへ…」とヘラヘラしてみたり、「おタマちゃん、可愛いって。よかったねえ」と言ってみたりもしますが、おタマは褒め言葉をいただいていることなどつゆ知らず、最近激しくなってきた人見知りを発動させて「ガルル…」と威嚇していたりするので、その場をどう繕ったものか、ちょっと考えてしまいます。まあ、あんまり深く考えなくてもいいことなのでしょうけれど。

 

さて、昨日の続きです。twitterでバズっていたロシア語広告について。

 

ロシアのバーガーキングの広告は色々と『やらかしてくれる』らしい「あらゆる国で飛ばしてる」「全力で喧嘩を売っていく」 - Togetterまとめ

 

このバーガーキングの広告について、たぶんどこにも需要はありませんが、私がおもしろいと思ったので逐語訳・品詞分解してみます。

 

まず、この広告、隣のマクドナルドの広告に対するツッコミが含まれているので、マクドナルドの方を先に見てみましょう。

 

купи обед с липтон и получи очки в подарок

食事と一緒にリプトンを買って、メガネのプレゼントをもらおう

 

купи、получиは、完了体動詞купить(買う)、получить(受け取る)の単数命令形。

обедという語は、辞書では「午餐、ディナー」となっているので、昼食にも夕食にも使える単語ということですね(わざわざ午餐と書かなくても、昼食って言えば…と思ったのですが、ひょっとして、午後に食べないとобедでないのだろうか。)。ここでは動詞купитьの要求で対格になっています。

с+造格名詞で「〜とともに」ですが、 липтон(リプトン)は外来語なので無変化のまま"с липтон"と接続しています。

очкиは「眼鏡」、二つのレンズがくっついているので常に複数形の名詞(英語やスペイン語でも複数形)。обедと同じく対格。このケースでは、サングラスをさすと思われます。

в подарокは、в+対格の形で「プレゼントとして」という意味ですね。

 

で、このマクドナルドに対して、バーガーキング様より辛辣な一言。

 

КАКИЕ ОЧКИ? ЭТО ПИТЕР, ДЕТКА!

メガネだって? ここはピーテルだぜ、ベイビー!

 

この一言とともに、マクドナルドの広告を指差して呆れているような男性の写真が載せられていることが、皆さん面白がっておられるポイントなのですね。

まずкакиеという語ですが、これはкакой(どのような、英語でいうとwhichにあたる語)の複数形(очкиが複数形のため)。直訳すると「どんなメガネ?」となるのでしょうが、「メガネて!! どないやねんw」というニュアンスを出す用法だと思われます。

это питерで「これはピーテルだ」。"это 〜"で「これは〜です」、初歩の初歩で習う構文です。ピーテルというのは、ロシア第二の都市サンクト・ペテルブルクの愛称。この広告が貼られていたのがペテルブルクだということでしょう。

деткаという語は知らなかったのですが、дети(子どもたち)と同語源で「ベイビー」「かわいこちゃん(死語…)」のような意味をもつ、俗語に近いことばのようです。

 

дождевик в подарок при покупке латте 0.5л

0.5リットルのラテお買い上げにつき、レインコートをプレゼント

 

дождевикは「レインコート」。ペテルブルクの気候は亜寒帯湿潤気候ですが、夏には雨がよく降るようです。1ヵ月のうち半分以上の日が雨降りだとか。確かに、グラサンかけてる場合じゃないですね。

при покупкеという表現では、前置詞приの要求でпокупка(買い物)が前置格になっています。「〜を買うことで」のようなニュアンスでしょうか。0.5лの"л"は英語のLにあたる文字なので、英語と同じく体積の「リットル」をさすようですね。

 

楽しくなってきたので、上記のまとめに載っていたもうひとつの広告も分析してみましょう。これも同じくマクドナルドを揶揄しているバーガーキングの広告。懲りませんねえ。(写真は無断転載になっちゃうので載せませんが、まとめサイトをごらんくださいな)

 

настоящие бургеры на 20 шагов левее

本物のバーガー、20歩左へ

 

この広告の真下にはマクドナルド、そして20歩左にはバーガーキングの店舗が…という、あからさまに嫌がらせをしているような看板。こんな看板を掲げても問題になるわけでなく、むしろみんな面白がっているというのが、なんともロシアらしいというべきか…。自分がマクドナルド側であっても、こういうジョークを受け流せる心の余裕を持っていたいものですな。というか、マクドナルドの宣伝にもなっているということかしら。

 

「本物の」という意味の形容詞настоящийは、бургеры(ハンバーガー・複数)に合わせて複数形になっています。

на 20 шагов(20歩で)、「一歩」を表すшагが、20という数詞の要求で複数生格шаковになっています。

левееは「左の」をあらわす形容詞левыйの単一比較級。「より左に」という意味ですね。

 

ロシア語としては基本的な内容ばかりでしたが、こうして改めてロシア語の表現を分析してみると存外に楽しかったですし、勉強になりました。またロシア語素材を引っ張ってきて、なんかやりたいと思っています。ロシア語は名詞も形容詞も文中での役割に応じて格がどんどん変わっていくので、語そのものを見ただけではどの格かわからず、つまりその語の基本形がわからないため、辞書を引いても意味がつかめないことが多々あります。こうした品詞分解の訓練を積み重ねることで、各々の語の役割をつかみ、読み取りの力をつけていきたいものです。

もしロシア語の堪能な方が見てくださっていたらお恥ずかしい限りですが、何か間違いがありましたら遠慮なくコメントでご指摘くださいませ。

 

では、また近いうちにお会いしましょう。

TOEFLのスペイン語版・ロシア語版を受ける(かもしれない)。

こんにちは。またまた、ごぶさたいたしました。

平日昼間はワンオペ育児、奮闘中の私です。

 

10ヵ月の娘・おタマと二人きりで過ごす昼食の席があまりに静かなものですから、最近ではクラシック音楽をかけながらお食事をいただいているのですが、これ、けっこうおすすめです。

 

「ギャー! お皿つかまないでー!!」

「スプーンを振り回すなー! あーぶーなーいー!!」

 

と叫びたくなるような場面でも、ショパンのピアノ協奏曲がバックに流れていれば、

 

「お嬢様、お行儀が悪うございますわよ。オホホ」

 

と「ばあや」になりすまし、ロイヤルな気持ちで食事を乗り切ることができるのです。

まあ、それでも娘がパンをわしづかみして床に投げつけちゃったりした日には、たちまち「ギャー!!」となるのですが…。

 

パンがないなら、ケーキを投げればいいじゃない!!(錯乱)

 

というわけで、今日も元気に床を磨いております。

子どもが産まれるまでは、雑巾で床掃除なんてそうそうすることなかったのですが…。日々ピッカピカになっていく我が家のフローリングに、「子育ては修行である」との思いを新たにしております。

 

さて、今日も今日とて、語学学習のお話。

ロシア語能力検定・スペイン語検定がともに終わり、英語学習とともに「次は何を目標にしようかな〜」と1週間ほどのらりくらり考えておりまして、ようやく決まりました。

ここにメモしておきます。今後の学習目標です。

 

スペイン語→今年10月に、スペイン語検定4級を受ける。

      終わったら、来年にDELE(※後述)のB1を受けるつもりで学習を続ける。

ロシア語 →来年8月、ТРКИ(※後述その2)の基礎レベルか第1レベルを受ける。

      アニメDVD「チェブラーシカ」のスクリプト書き取り・対訳を完成させる。

      (ロシア語検定3級に落ちていれば、今年秋に受け直す。)

英語   →今年秋頃にTOEICを受ける。目標スコア930。(現時点のスコアは900)

 

…「テストばっかりやんけ!!」

 

そうですね。試験があると燃えるタイプの私です。

 

補足しておくと、DELEというのは、スペイン教育文化スポーツ省が実施しているスペイン語の試験です。日本でつくられているスペイン語検定と比べると、DELEはより国際的な信頼性の高いものといえます(ちょうど英検とTOEFLの違いみたいなもんです)。スペイン語圏に留学するときの指標とされることも多いようです。私のスペイン語力は初級から片足一歩抜け出したくらいのところにいるので、目標とするには中級最初のレベルであるB1が妥当かと思っております。

 

ТРКИ(テルカイ)も同様に、ロシア政府がつくっているテストでして、英語ではTORFL(the Test Of Russian as a Foreign Language)と呼ばれています。こちらもTOEFLと同じく、ロシアの大学に留学するときの指標となるものです。

入門・基礎・第1〜第4の6レベルに分かれていて、目指す第1レベルは、習得語彙数2300。学習を続けていくという条件つきで、ロシアの大学に入学を許可してもらえるレベルです。推定習得語彙1200の現状からすると かなりの背伸びといえますが、なんせこの試験、日本では年1回、8月に東京1か所のみでの開催なのです。受けに行くだけでも大旅行となってしまううえに、受験料も2万円とお高め。段階を踏んで何度も受けている余裕はないのです。1発勝負なのです。

とはいえ、学習していくうえで「これは無理だ」と判断したならば、受検を延期するか基礎レベルに下げるかを検討していくことになります。なんせ、他の誰のためでもない、自分のためにする勉強ですので、目標は柔軟に。自分の寿命が続くかぎり、締切なんか存在しないのも、大人の語学学習のいいところです。

 

で、さっそくТРКИの参考書を…と思ったのですが、日本での認知度があまりに低いため、日本語で書かれた参考書がほとんどありません。そこで、日本でТРКИを実施している「日本対外文化協会」のサイトや、ロシア語書籍を専門に扱っているサイトを見て回り、英語やロシア語で書かれたテキストをいくつか取り寄せましたやはりマイナー言語を学習するときは、英語がわかると便利ですな。ロシア語で書かれたほうはなかなか苦戦しそうですが…。

どんな参考書かは、次回以降ゆっくり紹介していこうと思います。

 

スペイン語検定4級の参考書は、前回に引き続き、白水社スペイン語検定対策4級問題集」を使用します。巻末に必要語彙リストがありますので、ひとまず、少しずつ単語を覚えていくことからスタートしています。これとNHKラジオ第2「まいにちスペイン語中級編」スキット丸暗記作戦で、ひとまずは事足りるはず。試験1ヵ月前になったら、上記の「4級問題集」と過去問を一気に解けば、対策としては万全かと考えております。

 

英語については、特にこれといった対策はしないつもりですが、日々読んでいる英語雑誌「Reader's Digest」を少しずつ読み続けること。それと、音声素材つきの「English Journal」を、スクリプトを精読しながら聴き込むこと。この2つをコンスタントに続けていくつもりです。上に書いたTOEIC900というスコアは、昨年産休に入ったばかりの頃、対策なしでの英語力をはかる目的で受けたものなので、これと比較することでこの1年間の学習成果が問われることになると思います。リーディングが最後まで読めなくて悔しい思いをしたあの時から、少しでも進歩しているといいなあ…。

そういえば、昨年は妊娠9ヵ月の大きなおなかを抱えての受検でしたが、事前にそのことを伝えていたため、出入り口から一番近い席にするなど配慮してもらえましたよ。

 

ところで、ロシア語関連のお話。今日はtogetterで興味深い投稿を見かけました。

togetter.com

何やら、ロシアのバーガーキングの広告がおもしろいことになっている模様。

今日は、この広告に書かれているロシア語を訳してみようと思ってパソコンを開いたのですが、学習目標を書いているうちに長くなっちゃったので、次回に持ち越しといたします。

では、おやすみなさい。