スペイン語話者への道。 〜後編・私のスペイン語学習法〜
こんにちは。
今日は予告通り、私のこれまでのスペイン語学習を振り返ってまいります〜。
実は、昨日夜中までかかってこの記事を書きすすめていたのですが、途中で娘のおタマが起きて泣きだしてしまい、慌ててラップトップを放りだして寝かしつけに行ったものの、そのまま朝まで眠りこけてしまい…。
しかもそのとき充電ケーブルが外れてしまっていたらしく、ラップトップの電源は落ち(古いのですぐ落ちるのです…)、保存していなかった記事は水泡のごとく消え去ってしまったのでした。
がんばって書いた記事を誤って消してしまうのは、当ブログ始まって以来二度目の出来事です。。しょんぼり。
そそっかしいのは生まれつき、なかなか治らないものですが、これからはせめて書きかけの記事をマメに保存していこうと思います。。。
のっけからこんな調子ですが、なんとか思い出して書き直してみます。
大好きな語学の話ですので、気分をアゲて書いていきますよ!
大学の授業で、初めてスペイン語に出会った私。
産休に入ったことを機に、十数年ぶりに勉強をやり直すことにしました。
しかし、何から始めればいいのか!?
目標は? 教材は? 学習法は!?!?
妊娠中→育児中という環境のため、あまり外に出られず、お金もかけられない中で、いかにしてスペイン語検定4級(英検でいうと準2級・2級レベル)までこぎつけたのか。
具体的な学習法やアプローチを記録していきます。
そして現在、私のスペイン語力はまだまだ満足できるレベルに達していませんので、これからどう学習を続けていくかについても、少し触れようと思います。
※スペイン語との出会いをつづった「前編」はこちら↓
今回、スペイン語検定(以下西検)の級別にまとめますので、当ブログ初の目次を導入してみようと思います。
スペイン語学習者の方は、ご興味のある級や話題をクリックしていただければ、そこに飛ぶことができますよ。
スペイン語学習、私の目標
まず、学習を始めるにあたって大切なのは、目標を定めることです。
なんかいきなりエラそうなことを言ってしまいましたが、私は大学時代に第二言語習得理論を学んでいたことがあり(専攻は応用言語学・日本語教育学です)、自分の母語と異なる言語を学ぶときに大切なことは何かというテーマで研究をしていました。これは、その研究を通して学んだことです。
(※この大学時代に学んだ外国語学習のための理論についても、近いうちに当ブログで公開しようと思っています。現在、鋭意執筆中です。)
何か学習を始めるとき、受け身ではなく主体的に学習をすすめていくためには、具体的な目標を決めるということが不可欠なのです。
それも、ただ漠然としたものではなく、できるだけ検証可能なものを。
そして、最終目標となる長期目標と、1ヵ月〜数ヶ月くらいで検証可能な短期目標(必要ならば中期目標も)に分けて定めること。
目標を決めたら、どうやって、どのくらいの期間でそれを達成するかを決めること。
まあ、ひらたく言うと「自分はそのスキルを使って何がしたいのか」「それを学ぶことで、どうなりたいのか」ということですね。
これがないと学習の動機付けがうまくいかず、学習習慣が定着しづらくなります。
(というか、そもそも何かやりたいことがあって学習を始めるはずなので、その目標を具体的に言語化しておくことはとても大切なことです。)
この理論に従って、私はまず目標を定めることにしました。
なんでスペイン語を勉強したいかって、そりゃあ、たくさんの人と話がしたいから。
私は元来、旅をするのが大好きなので、最終的に旅をしてみることで検証できる目標にしました。
長期目標…「スペイン語圏を旅するときに、不自由しない程度の力をつけること」
中期目標…「2年くらいで西検4級取得」
短期目標…「西検6級・5級を半年ごとに取得」
なんだかとってもシンプルな目標ですが、もちろん検定にさえ合格できればいいというわけではありません。長期目標に近づくためのステップとして西検を採用し、検定に向けて学習していくなかで必要な実力は自然と育っていくだろう、という考え方です。
私はネイティブレベルにまでなりたいわけではないので、ひとまずはこれくらいを目標に定めればいいかな、という気軽な気持ちで決めました。
ちなみに、ゆるっと期間も定めましたが、これは絶対に守らないとダメだというものではありません。計画がうまくいかなければ必要に応じて修正していけばいいものです。
現に、長期目標には締切を定めませんでした。上に書いたことと矛盾しているかもしれませんが、「最終目標はいつ達成してもいいもの」という意識も、あってもいいと思うのです。
学習は、辞めなければ、少しずつでもずっと続いていきます。
そして、学ぶこと自体を楽しんで、続けていけばいいもの。
学んでいく過程のなかで「あれ? なんだか楽しくないな」と思ったならば、目標も学習方法も変えたって構わないのです。
それくらい、ゆるい気持ちで。
スペイン語学習へのアプローチ、開始です。
最初のステップ、6級
私が産休に入ったのは昨年、2016年の6月のことです。
8月に出産予定。そして、西検は10月末に実施されます。
よし、受けよう。
思い返してみれば、初産の2ヵ月後に受けたこともない試験を受けに行くなんて無謀にも思えますが(笑)、夫とも相談したうえで「まあ、何とかなるでしょ」と決めました。
というのは、西検6級の難易度について調べてみて、「これならいけそうだ」と踏んだからです。
西検の願書や問題集などの記述からざっくりと6級の概要をまとめてみると、こんなかんじ。
・文法は直説法現在のみ
・必要語彙数500語
前回も書きましたが、動詞の活用については、大学時代にみっちりやった記憶がうっすらと残っています。それに、必要なのは初歩の初歩、直説法現在形のみ。
これなら、産後はバタバタして学習の時間が割けないとしても、出産前の2ヵ月で単語を叩き込めばいけそうだ。
ということで、さっそく学習開始です。
以下、学習に使用した教材をリストアップいたします。
○NHKラジオ第二放送「まいにちスペイン語 入門編」
言わずと知れたNHKの語学講座。現在も、主に「応用編」でお世話になっています。
毎週月〜水曜が入門編、木・金曜が応用編。半年ごとに異なるプログラムが開講されます。
通算4期「入門編」を聴き続けていますが、この「入門編」は6級対策にぴったりだと思います。動詞の活用は直説法現在のみ(最後のほうに少し点過去に触れる講座が多いようですが)、最重要動詞serとestarの違いや、hayを使った存在文の用法、疑問詞や名詞の性数変化など、6級に必要な文法事項はおおむねカバーしています。
ただ、目的格人称代名詞(直接目的格/間接目的格)についてはあまり触れない講座もあるようですので、ここは他のテキストなどできちんとおさらいした方がいいかと思います。あと、カバーする語彙についても講座によってばらつきがありますので、こちらも他の教材と組み合わせることをおすすめします。
ラジオを使った学習の一番いいところは、お金がかからないことです。
電波が入る場所でさえあればどこでも無料で聴けますし、スマホアプリやウェブでストリーミング再生もしてくれているので、放送された次の週の間は何度でも繰り返し聴き直すことができます。
語学学習で大切なのは、何度も反復して聴いたり書いたりし、単語やフレーズを身体に染みこませること。そのため、「ながら学習」でも反復して聴けるラジオ講座はたいへんオススメなのです。
更に、テキストを買っても毎月486円。私は電子版を利用しているので410円です。こんなにリーズナブルに、良質な語学番組を提供してくれるなんて…って、NHKの回し者みたいになっていますが(笑)。とにかく番組の内容としては申し分ないと思います。
ちなみに、「応用編」は4級受検後の現在でもかなり手こずる内容になっています。
この「入門編」と「応用編」の間を埋める「中級編」というのもありましたが、これについては5級のところで後述します。
○白水社「スペイン語検定対策5級・6級問題集」(青砥清一著)
文法の学習は、上に書いたラジオ講座とこのテキストで充分、事足りました。
むしろこのテキストは少し詳し過ぎるくらいで、実際には出題されない西作文の問題なども多数収録されていますが、スペイン語の総合的な力をつけるという意味では意義のある内容だったと思います。
巻末の単語集が、6級と5級で分けられていないのが惜しいところですが。
というわけで、単語に関して少し不安があったので、こちらも購入しました。
この単語集は6級と5級でセクションが分かれているので、必要なぶんだけ学習することができます。重要単語には例文がついていて、付属CDにもその例文が収録されているので、教材として申し分なかったと思います。
以上3つの教材を使って、いざ6級を受検。
ちょっと拍子抜けするくらいあっさりと解き進むことができ、無事に合格となりました。
時制が鍵を握る、5級
そして5級です。6級の合格がわかってから、次の年(つまり今年ですな)6月に受検することを決めました。
5級の概要は以下の通り。
・文法は直説法全般、点過去・線過去・過去未来・未来形を含む
・必要語彙数1200語
5級については、このブログでも受検記と学習法を書きました。詳しくは下記リンクへ。
42種類の衝撃。 〜スペイン語検定試験5級受検記録 その①〜
上記の記事内でも書きましたが、当時ちょうどNHKラジオで「中級編」というのをやっていて、この前半3ヵ月分が5級の内容にぴったり合致していました。そして、後半3ヵ月分は4級の内容をカバー。文法の学習については、これさえあれば他には何も必要ないと感じたくらいに充実した内容となっていました(具体的にどう学習をすすめたのかは、上記リンクをご参照ください)。
この「中級編」、2016年度後半クールに初放送し、反響が大きかったのか2017年度前半クールでも再放送されましたが、また放送される予定があるかどうかはわかりません。現在は同じ枠で、かなり難易度の高い「応用編」が放送されています。
これから5級・4級に向けて学習される方には、少し割高ではありますが、この講座の内容を収録したCDも販売されていますので、こちらを使うのもいいかもしれません。それくらいオススメの講座でした。
というわけで、5級学習に使用した教材は以下3つです。うち2つは6級のときと同じものですね。
○NHKラジオ第二放送「まいにちスペイン語 中級編」
○白水社「スペイン語検定対策5級・6級問題集」(青砥清一著)
5級対策の勘所は、なんといっても時制。直説法点過去と線過去の使い分けや、過去未来、未来形の不規則変化をしっかり覚えているかが鍵を握ります。
テキストを丁寧に解きすすめたことで文法の疑問を解消し、単語も昔ながらの赤ペンと赤下敷きで(笑)頭に叩き込んで受検。無事に一発合格となりました。
接続法に挑戦! 4級
さて、4級です。6級や5級に比べると、だいぶ曲者でした。
4級の概要はこちら。
・接続法・命令法を含むすべての文法事項が出題対象
・必要語彙数2500
そして、私が4級を受けたときの体験記はこちらです↓
記憶力との闘い(いろんな意味で)。〜スペイン語検定4級受検記録〜
使用した教材は以下の通り。
○NHKラジオ第二放送「まいにちスペイン語 中級編」
詳しいことは上記リンクにも綴りましたが、今回、鬼門となったのは語彙でした。
実は、私、西検4級に関して勘違いしていたことがありまして。それは、4級取得に必要な語彙数。
5級・6級受検のときにたいへん役立った青砥清一先生の問題集の4級版を購入し、巻末の単語集に収録されている語を数えてみたところ、収録されていたのは約2000語。ゆえに、この2000語を覚えれば大丈夫だと考えておったのです。
ところが、受検直前になったので「過去問題集」を入手したところ、そこには「4級の習得語彙数は2500語」とありました。
え!?
この「失われた500語」、いったいどうすれば…??
えっ、「他の本を探せばいいじゃない」ですか?
うーん…、そう思うじゃん??(誰やねん)
ところがどっこい、西検対策のテキスト自体、市場に出回っているものはたいへん少ないのです。他の4級対策本を探してもみたのですが絶版になっていたり、傾向が変わる前の古いものだったりして、結局この「差額」の在処はわからずじまい。
で、実際に受検した際にも、語彙力のなさがネックになったのでした(詳しくはリンク先をご覧ください…)。
更に、一言言わせてください。
さきほど触れた「西検過去問題集」について。
西検を運営している「西検委員会」が直々に発行している、唯一の過去問集です。各級4回分が収録されて1785円。
入手するには、いまどき、現金書留か郵便振替で郵送を依頼せねばなりません。
この時点で、「??」と思いながらも、まあ必要だし…と思って取り寄せたのですが。
なんと、最新のもの(2017年11月現在)で、2008年12月発行!
って…、
10年近く前やないか〜い!!!
その間、同じ傾向の試験を粛々と続けてくれているのならまだいいのですが、当然のごとく、西検の問題傾向はガラリと変わってしまっています。
一応解きましたが、まったく違う試験と言っていいくらいに違います。
(レベルとしては変わらないので、意味がなかったとは言いませんが…。)
長文や西作文など、廃止された形式の問題がずらり。
しかも、リスニング問題はテキストのみで音源なし。
更に更に、模範解答は正答がさらっと書いてあるだけで、何の解説もなし(長文の訳もありませんでした)。
中身、スッカスカです。
はっきり言って、買わなければ良かったと思いました。
この過去問題集の件もあり、西検の合格通知が届いたときも「合格証書1枚きり、点数や解説など一切なし」という淡白さを感じたこともあり…。
しかも、西検の問題にはスペイン語を書かせる問題がほとんど無く、和訳と選択問題がほとんどで、採点の手間を省くような内容ばかり…。
うーん、西検委員会…。
西検、普及させる気…、あんまり、無い…のかな?
という印象を持たざるを得ません。
他の言語と比べるのもアレなんですが、ロシア語検定を受けたときには、過去問を請求すれば細かい解説つきの分厚い冊子が届きましたし、合格通知の中にも数ページにわたる講評や解説がつけられていました。どちらもリスニング音源の入ったCDがもれなくついていて、学習継続のためのアドバイスまで書かれていました。
なんというか…「露検、次も受けてね! 約束だよ!!」と言わんばかりの、鬼気迫る丁寧さ。
それと比べると…、うーん、落差がすごいな。
現在、4級は結果待ちをしていますが、合格していたとして3級を受けるかどうか…悩むところです。
そして、これから 〜西検3級か? DELEか?〜
ここまで、スペイン語をどのように学んできたか、ざっくりと振り返ってきました。
最初に挙げた目標のうち、中期目標の「西検4級」までこぎつけ(合格してるといいなあ)、今はちょうど一息ついているところです。
上にも書いたとおり、西検をステップアップしていくかについては、悩んでいます。
願書に書かれた情報によると、西検3級は英検準1級と同じレベル(このレベル設定もどうかと思うけど…)。かなりハイレベルな内容になりますが、それにしては教材も少ないし、どの程度の語彙が必要なのかもわからないし、そもそも過去問すら手に入らないし…、対策のしようがないように感じています。
それよりは、このブログでも触れたことのあるDELE(スペイン政府が実施している国際的な試験)を受ける方がいいような気がしています。
DELEなら、書く・読む・話す・聴くの4技能を満遍なく勉強できるし、世界中で実施されている試験なので対策本も入手しやすそうです。
レベルはA1(入門)、A2(初級)、B1(中級)、B2(中上級)、C1(上級)C2(最上級)の6つに分かれています。
私は中級レベルなので、B1かB2を受けるのがよさそうな気がします。
では、どちらを受けようか。
各レベルがどのような基準で分けられているかについて、公式サイトには「CEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)に基づいたレベル分け」という説明がありました。
CEFR!!
これ、ゼミ(大学の)でやったやつだ!
「せふぁーる」と読むコイツが何者なのか、ざっくりと説明しますと、多言語が飛び交うヨーロッパにおいて「語学力を測る共通のモノサシ」として欧州評議会が研究・開発した基準です。
詳しいことは話すと長くなりますので、気になる人はぐぐってくださいね。色んな論文が出てきて楽しいですよ〜。
このCEFRの各レベルがどんなものなのか、ざっと調べてみたところ、
B1…慣れ親しんだ環境の話題であれば、主な内容は理解することができる。(英検2級くらい)
B2…自身の専門分野において技術的なディスカッションを含め、抽象的な話題でも複雑な文章の大まかな意味を理解できる。(英検準1級くらい)
ということらしいです。
また、非常に大まかにですが、CEFR各レベルの習得語彙数をまとめたサイトも見つかり、そこには「B1は2000語、B2は4000語」とありました(言語によって語彙数の幅も違うので、一概に言えないとは思いますが…)。
やはり、今のレベルならB1、だいぶ背伸びしてB2、というところでしょうか。
ただ、DELEは西検に比べて開催地が少なく、受検料や試験時間も桁違いなので、かなりじっくりと準備をしたうえで受けるべき試験だと感じます。
ロシア語のТРКИ(同じような国際基準の試験)の方は受ける気持ちが固まっているのですが、DELEについてはもう少し学習を続けながら、じっくりと考えてみたいと思います。
現在、スペイン語については、今つけている実力を落とさないように単語帳を見返しつつ、少しハイレベルですがスペイン文学を読み解く「まいにちスペイン語 応用編」で学習を続けながら、これからの道を模索しているところです。
いつか、スペイン語圏を旅したいなあ。
そんな夢を見ながら(いつか絶対叶えますけどね!)、今日はこれにて終了といたします。
次回、いつもの「ミッフィー」ディクテーションをお送りしたあと、久々にロシア語もやりたいと思っています。「チェブラーシカ」のDVD学習、ずいぶん長くお休みしていましたが、来週あたり再開できたら嬉しいな。
とはいえ、無理なく楽しく、ゆるりとしたペースで。
また近いうちにお会いしましょう。