かあさんは雨女

語学と育児、その他いろいろ。

英語リスニング・ディクテーションチャレンジ!その① 〜「ミッフィーのぼうけん」9月3日放送分〜

こんにちは。

先日、当ブログにて「1歳の娘おタマが「ママ」って言ってくれない…「パパ」は言うのに…」と愚痴をこぼしましたが、最近おタマが急に、私を見つめて「ママ」と言うようになりました。

 

ひょっとして、おタマ… 私のブログ、読んでる…?

 

冗談はさておき、「ママ」と呼んでもらえるのはやはり嬉しいものです。

ごはんを見つめて「マンマ」もよく言っているので、食事と母親の区別がついているのかどうかが気になるところですが。

 

さて、昨日の予告通り、5分アニメ「ミッフィーのぼうけん」(NHK Eテレ 毎週日曜17:25-17:30)のスクリプトを書き起こしてまいります。

 

※この「ディクテーション」シリーズの詳細や注意事項については、前回記事(下記リンク)をご覧ください。

英語リスニング・ディクテーションチャレンジ!〜「ミッフィーのぼうけん」より〜

 

しつこいようですが、ディクテーション・和訳ともに、私が独自にやっておりますので、間違っている可能性がございます。間違いを発見されましたら、どうぞ遠慮なくコメントしてくださいね。 

では、始めます。

 

 

ミッフィーとホットケーキ」9月3日(日)放映

 

舞台はミッフィーのおうち。時刻は夕方のようです。

うさぎのミッフィー(Miffy)のパパとママが、何やらおめかしをして、お出かけの準備をしています。そこに、くまのバーバラ(Barbara)が登場します。

 

Barbara:Hello!(こんばんは!)

Father&Mother: Hello, Barbara!(こんばんは、バーバラ!)

Miffy: Hello, Barbara!(こんばんは、バーバラ!)

Barbara: Hi, Miffy! Are you ready to have lots of fun tonight, Miffy?(こんばんは、ミッフィー! とっても楽しい夜を過ごす準備はいい、ミッフィー?)

Miffy:Yes, I love it when you babysit.(うん! 私、あなたがベビーシッターをするときが大好き!)

 

どうやら、パパとママはミッフィーのお世話をバーバラに任せてお出かけするようですね。日本語でも「ベビーシッター」という言葉が定着していますが、babysitは動詞として「ベビーシッターをする」という意味でも使える語です。

hello/hi は、もちろん「こんにちは」の意味ですが、1日中いつでも使えるあいさつです。ここでは、夕刻でのできごとに合わせて「こんばんは」と訳しました。

 

Father: I think Miffy's looking forward to wild night out(?) even more than we are!ミッフィーは僕たちよりも、夜に(両親が)お出かけする日を楽しみにしているみたいだね。)

 

よく聴き取れなかったのですが、night outで「夜のお出かけ」。wild night outというフレーズが正しいのかどうか…。正しいとすれば、ワイルドなお出かけ。パパとママ、若いですねえ。

ミッフィーはバーバラと会えるのが楽しみなので、両親のお出かけの日はテンションが上がるみたいです。親としては、大助かりなシチュエーションですね(いいなあ)。

 

Miffy: Come on, Barbara! Let's find a game to play!(さあ、バーバラ!遊べるゲームを見つけましょう!)

Father: Well, let's go.(じゃあ、いこうか。)

Mother: We'll be off then, Barbara. Now are you OK to give Miffy had dinner and  get her ready to bed?(私たちは行くわね、バーバラ。ミッフィーに夕飯を食べさせて、寝る準備をさせてもらえるかしら?)

Barbara: Of course!(もちろんです!)

Mother: Bye Miffy! Have fun!(じゃあね、ミッフィー! 楽しんでね!)

Father: Bye!(行ってくるよ!)

Barbara: Bye!(行ってらっしゃい!)

Miffy: Bye Mommy, bye Daddy!(パパ、ママ、行ってらっしゃい!)

 

英語には、「行ってきます」「行ってらっしゃい」に相当する語がないので、お出かけするときはお互いに"Bye"とだけ言うことが一般的なようですね。

 

Barbara: Ha-ha, the house is ours! Let's Dance!(ハハハ、家は私たちのものよ!踊りましょう!)

 

Make it up as you go along(自由にダンスを作りましょう)

Dance your dance and sing your song(あなたのダンスを踊り、あなたの歌を歌いましょう)

Play around gain it all of that fun(?)(??)

Barbara bear and Miffy dance!(くまのバーバラとミッフィーが踊るの!)

 

バーバラ、ベビーシッターとは言っても、かなり理解があるというか…奔放なタイプのシッターさんみたいです。いきなり踊りはじめてます。

この歌、歌詞の3行目が全く聴き取れませんでしたが、まあ一緒に遊びましょう、楽しみましょう…というようなことを言っているのかと思われます。

前後しますが、歌詞の1行目make it up as you go alongについて。訳し辛いのですが、直訳すると「あなたが先に進む(go along)とともに、あなたの好きなように作っていきなさい(make it up)」ということで、ダンスを踊りながらどんどん自分のダンスを創っていっちゃおう! 自由に踊ろう! というようなニュアンスかと思います。

 

Miffy: Don't stop, Barbara! My feet still feel like dancing. Oh?(止めないで、バーバラ!私の足はまだ踊りたいみたい。あれ?)(グ〜っとお腹が鳴る)

Barbara: Well, I think your tummy feels like dinner. So let's make some food!(そうね、あなたのお腹は夕飯を欲しがってるみたいね。じゃあ、食事を作りましょう!)

 

feel like 〜(名詞又は動名詞)で、「〜がしたい、食べたい、飲みたい」。

tummyはstomachの幼児語で、「お腹」です。

お腹が減ったミッフィーのために、二人はキッチンに移動します。

 

Barbara: What would you like to eat, Miffy? I can cook pasta, or potatoes…(何が食べたい、ミッフィー? パスタでも、ポテトでも作れるわよ…)

Miffy: Pancakes! I like pancakes.(パンケーキ! 私、パンケーキが好き。)

Barbara: Pancakes? Are you sure?(パンケーキ? 本当に?)

Miffy: Yes, let's make pancakes. It's fun!(うん、パンケーキを作りましょう。楽しいよ!)

Barbara: But I've never made pancakes before.(でも、私はパンケーキなんて作ったことがないわ。)

Miffy: Don't worry. I've seen Mommy make them lots of times. I can tell you exactly what to do.(心配しないで。ママが作っているのを、何度も見たことがあるの。どうしたらいいか、全部教えてあげる!)

 

夕飯にパンケーキ。なんとも自由ですねえ。ミッフィーは作り方を知っているようです。

あっというまにタネができて、フライパンの上でパンケーキが焼けていきます。

 

Miffy: Oh, I can't wait! This is the best bit! You get some flippy top(?) and yet cook the other side!(ああ、待ちきれない! ここが一番いいところよ。表をポンとひっくり返して(?)、それから裏側を焼くの!)

Barbara: Oh, I never flipped a pancake before. All right.(ああ、私、パンケーキをひっくり返したことがないわ。よーし。)

Miffy: I know. Jiggle it. Like it's dancing.(わかった、揺すればいいのよ。ダンスみたいにね。)

 

the best bitというフレーズが出てきました。私もいま調べて初めて知ったのですが、bitという語は「少し、わずかな」という意味の他に、イギリス英語で「一場面、一節」という意味もあるそうです。「ここが一番いいところよ!」ということですね。確かに、パンケーキをひっくり返すのは一番難しく、楽しい作業ですね。

その次のflippy topは少し自信がないのですが、flipという動詞に「ひっくり返す」という意味があるので、そこから形容詞に派生してflippyとなったものかと思います。topは多義語で、「頂上」の他に「表側」という意味もあるので、「パンケーキの表をひっくり返す」という意味のフレーズだと推測しています。

jiggleは「細かく揺する」という意味の動詞です。

 

Miffy: Try flipping it a bit harder.(もう少し、勢いよくひっくり返して。)

Barbara: Huh! Oops! Ha-ha.(えい! あっ、アハハ。)

Miffy: Oh…(ああ…)

Barbara: Let's try it again!(もう1回やりましょう。)

Miffy: Maybe a bit less harder than that, Barbara.(たぶん、もう少しゆっくりやればいいわ、バーバラ。)

Barbara: Ready… uh!(せーの…あっ!)

Miffy: Barbara! You're meant to catch it again!(バーバラ! もう一度キャッチしなきゃ!)

 

バーバラ、なかなか苦戦しております。パンケーキを勢いよく投げ上げるものの、天井にくっついたり、調理台に吹っ飛んだり。

最後のミッフィーのせりふ、be meant to do 〜は、「〜をするべきである」という意味のイディオムです。フライパンでしっかり受け止めなきゃ、おいしいパンケーキが焼けませんよね。

 

Barbara: Huh! Yes! Caught it!(えい! よし! キャッチできたわ!)

Miffy: Wow, Barbara! You really got the hang of it now.(うわあ、バーバラ! 本当に、もうコツをつかんだわね!)

 

get the hang of 〜で、「コツをつかむ、理解する」。

無事にパンケーキが焼けたようです。

 

Miffy: Umm… That was yummy. (うーん…おいしかった。)

Barbara: What a lot of mess! I think we should start tidying before your mommy and daddy get home.(なんて散らかっているの! ママとパパが帰ってくる前に、片付けをはじめなきゃ。)

Miffy: Uh, but I want to have more fun with you, Barbara.(ああ、でも、もっとあなたと楽しいことがしたいわ、バーバラ。)

Barbara: I think I know a way that we can tidy up and have fun.(片付けしながら、楽しく過ごせる方法があるわよ。)

Miffy: Really? How?(本当?どんな?)

 

tidyという動詞は、「片付ける、整理整頓する」という意味でよく使われる語です。tidy upというイディオムになると、「すっかりきれいにする」というニュアンスが出ますね。

パンケーキを作るために散らかし放題だった二人、音楽をかけてせっせと片付けを始めます。

 

Miffy: Hurray! (わーい!)

Barbara: Looking good!(いいわね!)

Miffy: All here!(こっちよ!)

 

このせりふ一つ一つに細かい意味はあまりないと思いますが、音楽をかけながら楽しく掃除をしている間の掛け声です。 

hurrayという語は、hurrahと綴ることもありますが、イギリス英語でよく聞かれます。「わーい!」「バンザイ!」という気持ちをあらわすための間投詞です。日本では、応援するときの「フレー、フレー」という掛け声として輸入(?)されていますね。

 

Miffy: There! Finished! Yay!(よいしょ! 終わった! イエーイ!)

Mother: Miffy! We're home!ミッフィー! ただいま!)

Barbara: What a timing!(なんていいタイミングかしら!)

Miffy: My pajamas! I'm not ready for bed!(あっ、パジャマ! 寝る準備ができていないわ!)

Barbara: Don't forget to brush your teeth!(歯を磨くのも忘れずにね!)

 

何とか片付けが終わったと同時に、ミッフィーの両親が帰宅。

What a 〜 (名詞)! で、「何という〜なんでしょう!」というフレーズ。非常によく使われます。

蛇足ですが、forgetという動詞について。forget to 〜(動詞)にすると「(これから)〜するのを忘れる」forget -ing(動名詞にすると「(以前)〜したことを忘れる」となります。to不定詞を用いるか動名詞を用いるかで、前後関係がガラッと変わってしまうので要注意です。

そういえば、動詞tryを使うときにも同じような違いが発生するようで、高校のときに英語の先生がこんな例文を示してくださったのを思い出しました。

 

I tried to kill him.(私は彼を殺そうとした。)

I tried killing him.(私は彼を殺してみた。)

 

to不定詞にするか動名詞にするかで、未遂か、犯罪を犯した後か、運命が分かれてしまうんだ!! と力説しておられました。こんな不穏な例文作らんでも…と思いましたが、そのインパクトのために私が十数年覚えていられたので、良かったのでしょうか…?

 

閑話休題

パパとママが帰ってきたところでしたね。

 

Mother: Hello, Barbara.(ただいま、バーバラ。)

Barbara: Hi, there.(おかえりなさい。)

Father: Where's Miffy?ミッフィーはどこかな?)

 

ここもやはり、「こんにちは」ではなく、日本語のあいさつとしては「ただいま」という訳が妥当でしょう。「おかえり」と言うのに、日本人はどうしても"Welcome back."とか言いたくなりそうですが、毎日のあいさつならばやはり"Hello."や"Hi."といったカジュアルなものが好まれるようです。

 

Miffy: I'm coming!(すぐ行く!)

Mother: Oh, well, you look all ready for bed.(あら、まあ、寝る準備はすっかりできているわね。)

Miffy: Look, Mommy! I've brushed my teeth and we cleaned the whole kitchen too!(見て、ママ! 私、歯も磨き終わったし、キッチンも隅々まできれいにしたわ!)

Mother: Oh, very good.(まあ、よく頑張ったわね。)

 

I'm coming! という表現も、「今行く〜!!」と言いたいときによく使われます。「あなたのところに向かって行く」と言いたいとき、英語ではgoではなくcomeを使うのですね。

 

Father: Oh! But I think you missed a bit!(ああ! でも、少しやり残しがあったみたいだね。)

Miffy: Sorry, Daddy.(ごめんなさい、パパ。)

 

最後に、バーバラが天井にくっつけちゃったパンケーキが、パパの頭に落ちてくるというオチがつきました。

 

さて、ここまでで5分間のアニメでした。

訳と解説付きだと、けっこうなボリュームになりましたね。

毎週やっていきたいなあ、と思ってはいますが、次週はこんなに詳しくやらないかもしれません。日曜の放映ですので、だいたい週の最初のほうには更新したいと考えております。(なんて言っていたら自分の首を絞めるかも…汗)

 

では、次回は通常通り、「チェブラーシカでロシア語を学ぶ」の第5回をやります。

今日はここまで!

またお会いしましょう〜。

英語リスニング・ディクテーションチャレンジ!〜「ミッフィーのぼうけん」より〜

こんにちは。

いつもはロシア語やスペイン語のマニアックな知識やら体験記をつらつらと書いている当ブログですが、今日は、少し英語学習に立ち戻ってみたいと思います。

日本で暮らしている限り、英語に日々少しずつでも触れておかないと、英語力はどんどん落ちていきますからね…。何か、このブログで定期的に英語の記事も書いていければいいな…と、かねがね考えておりました。

 

で、教材は何がいいかしら。楽しくできるもので、無理のないボリューム、定期的に続けられる素材…。できればお金をかけずに。

そこで思い当たったのが、娘と一緒に観ているNHKEテレの「5分アニメ ミッフィーのぼうけん(Miffy's adventures big and small)」。毎週日曜の17時25分〜17時30分に放映されています。イギリスのアニメで、もちろん英語で視聴することができます。長さも5分とお手頃。子ども向けのアニメですから、語彙もそれほど難しくなく、ディクテーションの素材にはちょうど良さそうです。ちょうど9月で新しいシーズン(ずっと続いている番組なので関係ないような気もしますが)に入りますし、いいタイミングだと思い、次回記事から始めてみたいと思います。9月3日放送分よりスタートです。

 

ちなみにディクテーションというのは、「書き取り」のこと。ここでは、英語を聴き取ったまま文字に起こす作業のことをいいます。聴く→書く→読むの3技能のプロセスをたどることができ、英語学習法としては効果的な手法と言われています。ここでは、アニメを繰り返し観ることで、一字一句残らず、聴き取れるぶんだけ頑張って文字にしていきます。

 

いつものことながら、主に自分のためにやっていますが、英語を学んでいる方のお役に立つことがあれば幸いと思い、このブログで公開してまいります。いつものロシア語・スペイン語や育児関連の記事に加えて、週1回のペースで、無理のない限り続けていきたいです。無理のない限り…。できなかったら、無理しません…(弱気)。

 

※蛇足かもしれませんが、世界中で放映されているアニメですから、ネットのどこかにスクリプト(脚本を文字に起こしたもの)が落ちていないかな…と探してみました。が、どうやら見当たらないようでした。本当にノーヒントで、目と耳だけを頼りに聴き取ってみます(あっ、日本語吹き替えには時々頼りますよ)。番組がDVD化されれば英語字幕もつくようですので、発売されてから答え合わせするのもいいですね(どきどき)。

 

では、始める前に数点、説明と注意事項を書いておきます。

 

・登場人物の台詞と訳は青字で書いていきます。特に台詞の部分は太字で書き、あくまでも英語学習を目的とした「引用」であることを明確に示していきます(あっこれチェブラーシカの時は言ってなかった…)。日本語訳は私が独自に訳したものです。英文の構造がわかるように、なるべく元の英語に即した訳を書いていきます。多少不自然な訳になることもございますが、ご了承ください。

 

・一言一句間違わずに聴き取ることを目標にしていますが、私の英語力では聴き取れない部分も時にはあろうかと思います。そういうときや聴き取りに自信がないときは、しれっと「(?)」マークをはさんでおきます。訂正、補足などございましたら、どうぞお気軽にコメントを残してください。どうか、くれぐれも、ためらわずに。間違いを指摘されるより、間違いのまま残してしまう方が、ずっと恥ずかしいことだと考えておりますので。よろしくお願いいたします。

 

では、9月3日放送、「ミッフィーとホットケーキ」。

次回から始めます。お楽しみに。

独りぼっちの誰かのために。〜「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ その④〜

こんにちは。

1歳になったばかりの我が娘・おタマ、日々活発におしゃべりしております。

 

私「(夫・ナコ太氏の写真を指さして)この人、誰?」

おタマ「ふんじょごぶんご!」

ナコ太氏「そうです、私が ふんじょごぶんご です」

 

こんな、ゆるい会話を日々楽しんでいます。

(調子が良いときは「パパ」って言ってくれますよ。)

 

そんなおタマですが、「パパ」の他にも、寝かしつけのときにいつも私が「ねんね」と言うので「ネンネ、ネンネ」と繰り返して言っていたり(でも全然寝ないんですけどね)、私がかばんの中を探して「鍵、ない、ない」と言っていると、おんぶひもで背中にくっついたおタマも一緒に「ナイ、ナイ」と言ってくれたりしています。意味がわかって言っているのかは謎です。あと、こんなに色々言えるのに、なぜ「ママ」を言ってくれないのだ。ぐすん。

あ、ごはんを食べるときは、「んま、んま」と言っています。ごはんに負けたー。

 

 

さて、前回の続きです。チェブラーシカでロシア語を学ぶ、その④でございます。

 

前回までの記事はこちら。

「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ。〜プロローグ〜

チェブラーシカの名前の秘密。〜「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ その①〜

名前だって変幻自在。〜「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ その②〜

いたずらで宣戦布告?〜「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ その③〜

 

シャパクリャクばあさんから意味不明な宣戦布告を受け、唖然としているゲーナたち。

そこへ、ライオンのおじさんの登場です。

 

レフ・チャンドル:Лев... Лев Чандр.(私はレフ…レフ・チャンドル。)

 ゲーナ:Гена - Крокодил. Мои друзья.(ゲーナです、ワニです。私の友だちです。)

レフ:Дааа, а у меня нет друзей.(ああ、そして私には友だちがいない。)

 

この「レフ(Лев)」という名前、有名なところでは文豪レフ・トルストイや、楽器のテルミンの発明者レフ・テルミンなどの名前と同じですね。

ところが、調べてみたところ、なんとлевという単語はそのままライオンを意味するのだとか! トルストイテルミンの名前、ライオンさんだったんですねー。英語圏でいうと、レオとかライオネルといった名前に近いでしょうか。日本人だと「ししお」さん、とか?(笑)

何にしても、ライオンのレフおじさん。わかりやすいです。ゲーナもきちんと自己紹介。

друг(友だち)という単語、複数形は不規則変化でдрузья。更にレフのせりふでは"у меня нет 〜"(私には〜がない)の構文で否定生格が適用され、複数生格のдрузейになっています。

ところで、この否定生格。つまり、ロシア語では「〜がある」という文で主格が使われるのに「〜がない」になると生格に格変化しちゃうという現象。最初見たときは、どうも納得がいかなかったのですが、よく考えたら日本語も「ある」は動詞なのに「ない」は形容詞だったりして、結局なんだか不条理ですね。

ことばって複雑なもので、でもふだん何気なく使っているものには、なかなか気づけなかったりするのかもしれません。

 

さて、閑話休題。続きです。

 

トービク:Я! Я буду с вами дружить!(僕が! 僕があなたと友だちになります!)

レフ: Ну что ж, прекрасно, теперь я буду не один.(ああ、いいね、もう私は独りではない。)

 

今までワンワン吠えるだけだった犬のトービクがいきなりしゃべるもんだから、「あ…あんた、しゃべれたの!?」ってなりますが、まあ気にしない。わりと甲高いかわいい声です。

レフのせりふ、ну что жというのは成句で、英語でいうとwellとかalright、OKにあたるフレーズだそうです。「ああ、そうだね」「いいね」とでも訳せましょうか。

теперьという語は「今は、今度は」という意味で、さっきまでと違って今は…というニュアンスを出すことができる語です。

 

ゲーナ:А вы знаете, сколько в нашем городе живёт таких одиноких, как Чандр и Тобик?

(知ってるかい、僕たちの町には、チャンドルやトービクのように独ぼっちの人が、どれくらいいるのか。)

И никто их не жалеет, когда им бывает грустно.

(そして、彼らが悲しんでいるとき、誰も彼らを気の毒に思わないんだ。)

 

去っていくレフとトービクを見つめながら、ぽつりとつぶやくゲーナ。

вы знаетеというのは、直訳すると「知っていますか?」ですが、ここでは語りの糸口に「ねえ、ところで」と注意を惹くような役割のフレーズだと思われます。

одинокийは「孤独な、単身の」という意味の形容詞ですが、名詞として「独身者、独りぼっちの人」を指すこともあります。ここでは後者の意味。сколькоを使って「独りぼっちの人が、どれだけいるんだろう」という文になっていますが、ここは反語的な意味で「独りぼっちの人が、数えきれないくらいたくさんいる」と言いたいのだと思います。

живёт таких одинокихで「こんなふうに独りで暮らす」、ここでтакой одинокийが対格?生格?に格変化しているのがよくわかりませんが…動詞житьが対格補語をとる、ということかしら。

никтоは「誰も〜ない」という意味、жалеетはжалеть「気の毒に思う」の三人称単数形なので、никто их не жалеетで「誰も彼らを気の毒に思わない。」

когдаは「〜するとき」で文をつなげる関係代名詞ですね。бывать грустноは「悲しんでいる」。つまり、誰かが独りぼっちでさみしい思いをしているとき、誰もその人に寄り添ってあげていない、ということをゲーナは嘆いているのですね。

 

チェブラーシカЯ хочу помоть им.(ぼく、彼らを助けたい!)

ガーリャ:И я хочу, но как!?(私も助けたいわ、でも、どうやって!?)

ゲーナ:А я уже придумал! Их надо передружить!

(思いついた! 彼らには、友だちの橋渡しが必要なんだ!)

 

独りぼっちの人を何とかしてあげたい、と考えるチェブとガーリャ。

ゲーナのя уже придумалというせりふ、придуматьは完了体で「思いつく」なので、「あっ、今思いついた!」という意味になります。

их надо〜で「彼らには〜が必要だ」。передружитьという動詞が曲者でして、辞書には見当たらないことばなのですが、пере+дружитьと分けて考えると何とかなりそうです。пере-という接頭辞は、идтиとくっついてперейти=「向こうへ渡る、横断する」になるので、дружить「友だちになる」という動詞に「橋渡しをする、そういう状態にしてあげる」というニュアンスを加えるものと思われます。

つまり、独りぼっちの人に手を差し伸べて、友だちをつくる手助けをしてあげよう! ということになるのですね。

 

彼らの、この「孤独な人に手を差し伸べたい」という純真さ…。心が洗われるようで、何というか、水をさすような言葉を差し挟む隙がない、と言いましょうか。人として、大切なものを思い出させてくれるような気がします。

 

さて、独りぼっちの人が、友だちをつくるために…ゲーナたちに、何ができるのでしょうか?

短いですが、今日はここまでです。

次回をお楽しみに。

 

いたずらで宣戦布告?〜「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ その③〜

こんにちは。

前回記事を読んだナコ太さんから、「今回は育児の小ネタ、なかったねえ」とクレームをいただきました。

そうか…楽しみにしてくれていたのか…。

まあ私が書く育児ネタって、ナコ太さんが知ってることばかりなんですけどね。(当たり前や)

 

というわけで、1歳になりました我らが娘、おタマ。

最近は言葉がわかってきたようなそぶりを色々と見せてくれます。

ですが、発する言葉はおおむね「パパ」。

平日昼間も、いつだって「パパ」。

パパは今お仕事がんばってるからね〜、と説明しても、私をじっと見つめて「パパ」。

 

ナコ太さんが傍にいようがいまいが、ずーっと「パパ」と言っております。

 

うかいうかい、そんなにパパが好きかい。

私と一緒にいる時間の方が長いのに…このパパっ子め…。

と、半ばいじけた気持ちでおった私ですが、先日、ナコ太さんにおタマを任せて外出したときのこと。おタマ、私が去っていった方を見て、ずっと「パパ、パパ!」と言っていたそうです。

これって、ひょっとして…。

 

本人は「ママ」って言ってるつもりなのだろうか?

 

そう考えると、私と二人のときに私を見つめて「パパ」と言っていることも腑に落ちます。

前にも書きましたが、音声学的に考えても、m音よりp音の方が出しやすいのです。つまり、本人はm音を出しているつもりでもp音になってしまう、または聴き分けができてもまだ言い分けることができない、という可能性は充分あり得ます。

あるいは、おタマの中では、私とナコ太さんを両方ひっくるめて「パパ=養育者」という構図が成り立っているのやも。

 

どちらにしても、私のことを無視してパパを呼びつづけている訳ではないらしい、ということがわかって一安心です。

子どもの成長のプロセスって本当におもしろいですね。

 

さて、前回の続きです。愛くるしい人形アニメチェブラーシカ」でロシア語を学ぶ、その3。

最初は独りぼっちだったチェブラーシカですが、ワニのゲーナ、人間の女の子ガーリャ、そして犬のトービクと、無事に友だちになることができました。

しかし、このまま「めでたしめでたし」…とは問屋が卸さず、物語は急展開(?)を迎えます。

いじわる・いたずらを趣味にしている、怪しげなシャパクリャクばあさんの登場です。

 

コミカルな音楽とともに、歌いながら登場するシャパクリャク。ミュージカルのようで惹き込まれますね。まあ歌詞の内容は「人助けなんか時間の無駄、いたずらしていた方がまし」というひどいものですが。まじめそうな掃除夫さんにからみながら、ちょこまかと歌って踊ります。

 

Кто людям помогает,(人助けをする人は)

Лишь тратит время зря, ха-ха.(時間を無駄に垂れ流すだけ、ハハハ)

Хорошими делами,(善い行いをしても)

Прославиться нельзя, ха-ха.(有名になることはできない、ハハハ)

 

一行目、最初のктоは、「〜する人」をさす関係代名詞です。

людямは、люди(人々、常に複数形)がпомогать(助ける)の要求で与格形になっています。合わせて「人々を助ける人」ということですね。

лишьはлить(注ぐ)の二人称単数形、тратитはтратить(むだにする)の三人称単数形(?)。зряは副詞で「不必要に」。

хорошими деламиはхорошее дело(善い行い)の複数造格形。「善い行いをもって」で次につなげます。

прославитьсяは「有名になる」。後ろにнельзя(だめだ)がくっついているので、「有名になれない」、つまり「善い行いで名声を得ることはできない」という意味になります。

 

Поэтому я совсем каждому советую(だから皆にはっきりとおすすめするわ)

Всё делать точно так,(皆、まさに、こういうふうにするの)

Как делает старуха(ばあさんのするように)

По кличке Шапокляк.シャパクリャクばあさんのね)

 

倒置法が入ってくるので、訳がなんともぎこちないですが、ご容赦を。

каждомуはкаждыйの与格形。каждыйは「それぞれの」を意味する形容詞ですが、名詞として「それぞれの人、各人」という意味でも使うことができます。名詞でも、格変化のパターンは形容詞と同じです。

советовать(ここでは一人称単数形советую)+与格形〜(каждому)+不定形…(делать)

で、「〜に…を忠告する、勧める」という構文ですね。

 

では、どうすることを勧めているのか、という内容が、3行目のкак以下。

старухаは「おばあさん」、по кличкеは「〜というあだ名の」(по+кличка「あだ名」与格形)。

合わせて、「シャパクリャクと呼ばれるおばあさんのするように」、つまり私のまねをしなさいと言っているわけです。

 

で、歌い終わるやいなや、ゴミ箱を蹴っ飛ばしてゴミをぶちまけ、переход「横断歩道」の標識の向きを変え、パチンコを取り出してどこかのガラスを派手に割り、掲示板の張り紙にいたずら書きをするシャパクリャク。いい歳したおばあさんが、ひどいものです。が、どこか憎めないかわいらしさもあるのが不思議なところ。

 

細かいですが、掲示板のいたずら書きも、よ〜く見ると読めますね。

 

меняю、требуетсяという動詞の前に、それぞれ否定の"не"を書き加えています。

меняюはменять(変更する)の一人称単数形。требуетсяはтребовать(必要とする、要求する)の三人称単数形、英語でいうwantedのような意味でしょうか。

この両者に"не"をつけてしまったので、それぞれ「変更しません」「募集しません」という逆の意味になっちゃうわけですね。迷惑だなあ。

更に更に、シャパクリャクばあさん、ゲーナの書いた「友だち募集」の紙も目ざとく見つけ、ひっぺがして持ち去ってしまいます。

ということは、ゲーナのもとに行くつもり? 一体何が起こるのやら…。

 

場面は変わって、ゲーナのおうちの前です。友だちになったチェブたち御一行が、楽しそうに遊んでいます。目隠しをして鬼ごっこのようなことをしていますね。「こっちだよ〜」と呼ぶ掛け声、どうつづるのかわかりませんが、ロシア語でも「ココ〜」と言っているようでちょっとおもしろいです。

 

そこへ通りかかるシャパクリャク。ゲーナが友だちと間違えてシャパクリャクをつかまえちゃったりしたあと、シャパクリャクの連れているкрыса(クマネズミ)に怯えてみんな逃げてしまいますが、チェブは動じません。

 

※このкрысаという語、露英辞典ではmuskrat、Norway ratと出てくるのですが、字幕のクマネズミblack ratとの関係は?? 動物の専門家ではないのでわかりませんが…ま、どっちにしてもネズミを連れてるおばあさんって、なんか怖いですよね。

 

シャパクリャクА... ты не боишься крыс? (あなた、クマネズミが怖くないの?)

チェブ:Нет.(怖くない。)

シャパクリャクТемнота! Лариска, ко мне!(あきれた! ラリースカ、こっちよ!)

 

крысаが、бояться(怖がる)の要求で複数生格крысになっています。

темнотаという語は、辞書によると「暗闇」とのことですが…。「クマネズミが怖くないなんて、わかってないわね、視野が狭いわね、あなた」みたいなことでしょうか?

ко мнеで「私のもとへ」。こっちへ来なさい、という意味でよく使われるフレーズです。

 

そんな二人(一人と一匹?)の様子を、恐る恐る見守るゲーナたち。気づいたシャパクリャク、友だち募集の紙を取り出してゲーナに見せます。

 

シャパ:Это вы писали? (これはあなたが書いたのですか?)

ゲーナ:конечно, я.(もちろん、私ですよ。)

シャパ:Это хорошо, хорошо что вы зелёный и плоский...(これはすてき、あなた、緑色で、平たくて…)

ゲーナ:Но почему?(でも、なぜです?)

 

なぜか、ゲーナの緑色で平たい容姿に、大いに感動しているらしいシャパクリャク

 

シャパ:Очень просто - Вы лежите на газоне, и вас не видно,

(とっても簡単よ、あなたが芝生に寝そべる、そうするとあなたは見えなくなる、)

мы бросаем кошелёк на верёвочке, прохожий нагибается,

(私たちが財布をひもにつけて投げて、通行人がしゃがむと、)

а кошелёк убегает...Здорово, а!?

(財布は逃げる…いいでしょ、え!?)

 

газонが「芝生」なので、лежать на газонеで「芝生に寝そべる」。

видноは「見える」の意味ですが、挿入句として「どうやら、見たところ」という意味にも使える語ですね。ゲーナは緑色で顔が平べったいので、芝生に寝そべると目立たなくなると言っています。

верёвочкеという語は恐らくверёвочкаの前置格形ですが、辞書には見当たりませんでした。代わりにверёвка(ひも、糸)という語を見つけたので、恐らくこれの指小形なのでしょう。

нагибатьсяは「しゃがむ」、通行人がкошелёк(財布)を取ろうとしてしゃがむということですね。

убегать、「走る」という意味のбегатьに「去る」の意味を加えるуがくっついて、「走り去る」となります。идтиがуйти、ходитьがуходитьになるのと同じですね。

 

どうやらシャパクリャクばあさん、通行人を財布で釣って遊ぶという悪趣味ないたずらに、ゲーナたちを巻き込もうとしている様子。

 

ゲーナ:Нет, не здорово!(いいえ、よくありません!)

ガーリャ:И даже очень глупо!(むしろ、とっても愚かよ!)

シャパ:Что!? Тогда я объявляю вам войну! Привет!

(何ですって!? それじゃあ、見てらっしゃい! ごきげんよう!)

 

うーん、よく言った! とばかりに、いたずら案に反対するゲーナとガーリャ。

怒ったシャパクリャクばあさん、я объявляю вам войну!と。これ、直訳すると「あなたたちに宣戦布告する」というような大仰な意味になるわけですが(войнаは「戦争」ですからね)、「私に言ったこと後悔するわよ、覚えてらっしゃい」ぐらいのニュアンスだと思います。そこまで言わなくても…と思わせるシャパクリャクばあさんの極端なキャラ造形。なんとも魅力的ですね。

 

 

さあ、啖呵を切って去っていったシャパクリャクばあさん。次は何が起こるのやら。

今日は眠たくなってきたので、このへんにしておきます。

ではまた。

名前だって変幻自在。〜「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ その②〜

こんにちは。

語学オタクの新米(娘も1歳になったし、そろそろ新米も卒業…?)かあさんが、ロシア語とスペイン語と英語を楽しく学んでおります当ブログ。

今回は、DVD「チェブラーシカ」のスクリプトを使ったロシア語学習、第2回です。

(第1回の記事はこちら。)

 

とつぜん現れた「正体不明」の生き物、チェブラーシカ。電話ボックスを住処に、リサイクルショップの見せ物(!)としての仕事を始めようというところまでが、前回の内容でした。今回は場面が変わり、ワニのゲーナの登場です。

 

舞台は動物園。ワニの檻にワニさんが座っております。

 

ナレーション:В городе жил крокодил по имени Гена.(町に、ゲーナという名のワニが住んでいました。)

А работал в зоопарке. Крокодил.(動物園で、ワニとして働いていました。)

 

ひとつだけ、по имени 〜で、「〜という名前の」。

これ以外は、基本の構文なので、特に注釈はいらないと思います。

 

余談ですが、ロシア語って語順が自由ですねえ。上の一文目では、「町に、住んでいた、ワニが、名前を、ゲーナという」みたいな順番になっています。主格、前置格など、文章の中での単語の役割が格で表現できちゃうので、英語のように「主語が最初にこないと意味わかんない」という事態にならずに済むわけです。主格になっている単語を主語だと考えればいいわけですからね。格変化を覚えるのが大変! なロシア語ですが、考えようによっては語順に縛られず、自由に言いたいことを表現できちゃう言語だなあ、と改めて感じます。

 

さて、「動物が動物園で働いている」というのもユニークな表現ですが、終業時刻を報せるものらしいチャイムが鳴るやいなや、ワニのゲーナはコートを着て帰り支度を始めます。

 

えっ、服着るの?

それに二足歩行してますけど??

 

動物園の門には、ライオン、クマなど、色々な動物がお洋服を着て次々と現れ、スタスタと2本の足で家路へと向かいます。うーん、動物園での動物らしい様子は「お仕事」で、おうちでは人間と同じような生活をしているようですね。こういう不思議な世界観が、なんともユーモラスで魅力的な作品です。

 

さて、家に帰り着いたゲーナ。

しばらく退屈そうに色んなおもちゃをいじったあと、おもむろに便せんを取り出して何事か書きつけはじめます。

 

ゲーナ:Молодой карока... нет. Кракодил хочет завести себе друзей.Точка.

(わかい、カロコ…いや、クラコジル(ワニ)が、ともだちを欲しがっています。まる。)

 

ゲーナ、家でひとりは退屈だから、ともだちが欲しかったんですね。募集の紙を作っているようです。

завести себе друзейという表現が耳慣れないと思ったのですが、辞書によると、завестиは「連れてくる、導く」というような意味だそうです。公的文書(?)だから、三人称を用いて「ともだちを自分自身に連れてきたがっています」と、少し距離を置いた表現にしているのでしょうか。

друзейはдруг(友だち)の複数対格形。活動体なので生格と同じ形ですね。

точкаは文の終わりに打つ点、いわゆるピリオドのこと。言いながら書くのがかわいいです。

一枚書き終わると、次の紙に取り掛かるゲーナ。どうやら、町中にこの紙を貼ってまわるつもりのようです。

 

ところ変わってチェブラーシカの住処である電話ボックス。ひとりぼっちで、まわるコマをじーっと見つめるチェブの寂しげなロングショットのあと、電話ボックスのドアに友だち募集用紙が貼られているのを見つけます。チェブはゲーナと友だちになれるのかな?

 

そしてまた場面転換。こんどは悲しそうにすすり泣く犬が登場。迷い犬でしょうか。かわいい女の子・ガーリャが歩み寄ります。

  

ガーリャ:Не плачь. Пойдём со мной.(泣かないで。私と行きましょう。)

 

платьは、動詞плакать(泣く)の単数命令形。不規則変化です。

完了体動詞пойтиの一人称複数形пойдёмで、「行きましょう」という勧誘の形になります。

勧誘の形にしたいのが完了体動詞なら一人称複数形、不完了体動詞なら不定形を使います。私はいつもごっちゃになるので、不完了体が不定形、「不・不」で覚えています。

 

犬ちゃんと友達になったガーリャ。ゲーナの友だち募集文を見つけ、ゲーナのおうちに向かいます。

 

ガーリャ:Это вам нужны друзья?(友だちを欲しがっているのは、あなた?)

ゲーナ:Друзья! Мне!(友だち! 私だよ!)

ガーリャ:Галя.(ガーリャです。)

ゲーナ:Гена. Кроколил.(ゲーナ。ワニだよ。)

ガーリャ:У вас есть молоко?(ミルクはありますか?)

ゲーナ:Конечно, есть!(もちろん、ありますよ!)

 

初めて会う相手なので、вам, нужныと複数形(=丁寧形)を使って会話しています。

下から2つめのу вас есть〜という構文、NHKの「テレビでロシア語」講座にも頻繁に出てきた形でして、初めてこのDVDを観たときに聴き取れたのが嬉しかったなあ。молоко(ミルク)も基本単語ですね。

 

 

ガーリャ:Покоримте Тобика.(トービクにあげてください。)

ゲーナ:Тобик!(トービク!)

 ガーリャ:Я пока приберу - у вас токой беспорядок.(私は今のところ、そうじするわね —こんなに散らかっているもの。)

 

покормитеという語の不定形は恐らくпокормитьなのでしょうが、手許の辞書には載っていませんでした。ただ、кормить(餌や食事を与える)という語があるので、「ちょっと〜する」という意味になる接頭辞поをつけて「ちょっとあげる」となるのではないかと思います。

покормите Тобика(トービクにあげる)、Тобикという犬の名前が対格に変化しています。固有名詞も平気で格変化するロシア語の妙。いつも思うのですが、初めて聞いた名前が格変化していて、よくパッと元の名前を類推できるなあ。慣れなんだろうなあ。

приберуはприбрать(整頓する、きれいにする)の一人称単数形。

беспорядокは「混沌、散らかっていること」だそうです。ハッキリ言うものですね。

 

そこへ訪ねてくるチェブラーシカ。道すがら、花なんか摘んじゃったりして(でも結局持っていかなかった…このあたりの描写も細かい)。ゲーナの家のドアをノックします。

 

ゲーナ:Кто там?(誰ですか?)

チェブ:Это я - Чебурашка.(ぼくです…チェブラーシカです。)

ゲーナ:Чебурашка...チェブラーシカ…)

ガーリャ:Кто вы такой?(あなた、いったい誰なの?)

チェブ:А я не знаю.(わからないの。)

 

このКто (Что) 〜 такой?という構文、「〜とは、一体?」というニュアンスが出る便利な文です。一回聞いてもわからなかったり、詳細の説明を求めたりするときに使えますね。

 

ガーリャ:Вы, случайно, не медвежонок?(あなた、ひょっとして、小熊じゃないの?)

チェブ:Может быть, не знаю я.(そうかもしれない。ぼくには、わからない。)

ゲーナ:Сейчас, сейчас, посмотрим. Так, «Че»... чай, чемодан, чебуреки...

(今、ちょっと見てみよう。えーと、「チェ」…チャイ(お茶)、チェマダン(スーツケース)、チェブレキ…)

Странно, никаких Чебурашек нет.(おかしいな。どんなチェブラーシカも載っていない。)

 

случайноは「ひょっとして、偶然に」。случаться(起こる、巡り合わせる)に通じる語でしょうか。

медвежонокは「小熊」。ふつうの熊はмедведьです。余談ですが、ロシアの元大統領メドベージェフ(медведев)さんや、フィギュアスケーターのメドベージェワ(медведева)さんの名字は、この「熊」から来ているそうですね。日本の名前でいうと「熊田さん」みたいな感覚でしょうか。

может бытьで「〜かもしれない」、これも便利なフレーズ。

сейчасは「今」という意味の語ですが、ロシア映画など観ていると、「ちょっとまって、いま〜するから」というニュアンスを出すのに、よく"сейчас, сейчас"という表現が使われているように思います。

律儀に辞書で「チェブラーシカ」を調べるゲーナですが、どうやら載っていないようです。ちなみに「チェブレキ」はクリミア・タタールの料理чебурек(チェブレク)の複数形で、味付けした羊のひき肉の揚げ餃子のようなものだそうです。おいしそうです。

ЧебурашекはЧебурашкаの複数生格形。「辞書にない」という否定の構文なので、否定生格になるのはわかるのですが、なぜ複数形なのでしょうか。Чебурашкаを一般名詞ととらえて、「たくさんあるはずのチェブラーシカが一つも載っていない」ということなのかしら。

никакихはникакой(どんな〜も)の変化形。Чебурашекに合わせて複数生格になっています。

 

チェブ:Значит, значит, вы не будете со мной дружить?(ってことは、てことは、あなたたちは僕と友だちにならないってこと?)

ガーリャ:Почему? Будем, будем! Я научу тебя вязать на спицах.(どうして?なりましょう、なりましょう!私はあなたに、編み針で編む方法を教えるわ。)

ゲーナ:А я - пускать мыльные пузыри.(では私は、石けんでシャボン玉を作ってみせよう。)

 

значитはзначить(意味する)の三人称単数形ですが、慣用的に「ということは〜」という意味でよく用いられます。

дружитьは「友だちになる」という意味の動詞ですね。

научуの不定形はнаучить(教える)。вязать на спицахで(編み針を使って編み物をする)となります。道具を使う表現ですが、с+造格ではなく、на+前置格なのだなあ。

пускатьという表現も辞書には見当たらないのですが、ぐぐってみると「動かす、放つ」というような意味がヒットします。мыльные пузыри(せっけんで作るシャボン玉、複数形)を作って放つ、というニュアンスにふさわしい動詞なのでしょうね。

 

ぶじに友だちをつくることができたチェブラーシカ。よかったね。

ところが、このあと、いじわるばあさんシェパクリャクの登場!

さあ、どうなる!?

 

と、今日のところは、ここまでにしておきます。

次回をお楽しみに〜。