かあさんは雨女

語学と育児、その他いろいろ。

「チェブラーシカ」でロシア語を学ぶ。〜プロローグ〜

ママ友あるある 〜その3〜

ママさんを何と呼んでいいのかわからない。

 

私、「○○ちゃんママ」という呼び方がどうも苦手でして…。

「ママ」である自分も大事だけど、その前に三十数年間「私」として生きてきてるわけだしなあ。でも、娘の名前に加えて私の名前まで覚えてくださいと言うのも、おこがましい気がしたりして。うーん、難しい。

 

ちなみに、一緒に遊ぶママ友さんはみんな「マミちゃん」「マミさん」と呼んでくれています。ありがたいことです。

 

さて、今回もロシア語学習のお話。「チェブラーシカ」のDVDを使ってロシア語を学んでまいります。

「なぜDVDなのか?」と訊かれれば、私はこう答えます。

 

「英語学習が、それでうまくいったから。」

 

外国語を学ぶとき、入門から初級くらいまでは学習テキストを使って学べばよいですが、ある程度まで理論が身についたら、あとは生の素材を使って学習するのがいちばんだと思うのです。

 

学んだことばが、実際にどのように使われているのか?

似た意味の単語やフレーズが、どんなシチュエーションで使い分けられているのか?

 

学習テキストばかり使っていては、実地で役立つ会話力を身につけることが難しい…ということを、わたくし、英語学習で実感いたしました。というのも、高校まで必死こいて勉強していた「教科書の英語」が、留学先であまり役に立たなかった経験をしたのです(まったく役に立たなかったわけではないのですが…このあたりのことは、こちらの記事をご覧くださいな)。

 

慌てた私は、帰国してから英語のドラマや映画を使った学習を始めました。

私のやり方をまとめると、こんなかんじ。

 

①日本語字幕で、全体を通して観る。

②ストーリーが理解できたら、英語字幕をつけて観る。わからない語は辞書を引き、英語だけで理解できるようにする。

③英語字幕で何度も繰り返し観る。せりふを覚えるくらい、しつこく観る。

④字幕なしで観て、登場人物の言っていることがすべて理解できたら一丁上がり。

 

学習法には人それぞれ、向き・不向きがあると思うので、これが万能なやり方というわけではないと思います。私の場合、目よりも耳がいいので、リスニングにやや偏ったこの学習法がうまくいったのだといえるかもしれません。

視覚(見ること)・聴覚(聴くこと)・触覚(手を動かす事)のうちのどれが一番鋭いかで、自分に会った学習方法もおのずと変わってきますので、自分の適性を見極めることが大事ですね。

(※この理論は、私が大学のときに専門である応用言語学のゼミで習ったものです。また改めて、語学学習の理論についてはじっくり書きたいと思っています。)

 

で、私は上記の方法で学習を続けたところ、かなり自然な英会話の力をつけることができました。特によく観ていたのが、アメリカのシチュエーションコメディ"friends"。1話20分くらいで長さもちょうどいいですし、ニューヨークの若者がコーヒーハウスでダベっているシーンがほとんどなので、日常会話力をつけるにはもってこいです(笑)。コメディなので、単に観ていて楽しいし。この学習法を続けていたころ、TOEICで自己最高の950点(リスニングは満点)をマークしました。今はちょっと点数下がってますが。

 

話がそれました。ロシア語のことです。

独学で2年間ロシア語を学んできて、初級文法がひととおり終了し、日常会話もいけるくらいの語彙力もついてきたので、いよいよ何かロシア語の作品を鑑賞してみよう。というわけで、探してみました。

日本で観ることのできるロシア語の映像作品はとても少なく、しかもロシア映画となるとテーマが難解なものも多々あり、さてどうしようか…と思ったところで、チェブラーシカに出会ったわけです。

 

作品情報はこちら。

www.ghibli-museum.jp

 

1969〜83年に作られた映像ですが、作品全体に漂うなんともいえない哀愁と、主人公チェブラーシカの愛くるしい姿、一度観たら忘れられません。新しいバージョンもたくさん作られていますが、私はこの「元祖」の方がだんぜん好きです。

 

子ども向けのアニメなので語彙もそんなに難しくなく、ロシア語能力検定3級の私のレベルにぴったり。日本では「三鷹の森ジブリ博物館ライブラリー」からDVDが販売されており、さっそく購入しました。試しにざっと観てみたところ、いくらか聴き取れるフレーズがあったのがたいへん嬉しかったです。これぞ語学学習の醍醐味。外国語で作られた作品を、外国語のまま味わうことができるって、とても楽しいものです。

 

ただ、DVDの字幕は日本語のみで、ロシア語のスクリプト分析をすることができない。困っちゃった、そんなときに頼りになるのがgoogle先生。「субтитры чебурашка(字幕 チェブラーシカ)」でぐぐったところ、わりとすぐにスクリプトを載せているサイトを発見しちゃいました。うーん、便利な時代!

 

というわけで、これから少しずつ、チェブラーシカスクリプトを分析しながらロシア語学習を進めてまいります。

 

長くなっちゃったので、今日はこのへんで。次回から内容に入っていきます。

では、また。

ТРКИ対策の語彙集(多言語版)を買いました。

ママ友あるある 〜その2〜

自分の子より月齢の低い赤ちゃんのママさんに、先輩づらして「うちの子がこれくらいの時は〜」とか話していたら、実は上のお子さんがいらっしゃるベテランママさんだったことが判明したとき、なんだか無性に恥ずかしい。

 

こんにちは。ロシア語・スペイン語学習に奮闘中の新米かあさん、マミです。

もうすっかり夏ですね。スペイン語検定を受けてから、早いもので一ヵ月が経とうとしております。そろそろ次の目標を意識して、やることを増やしていこうかな。とか思いながら、今はゆる〜いペースでのんびりと学習を楽しんでいます。

 

語学学習は、楽しんでできるペースが大事。「やらなきゃいけない」と自分を追い込んで辛くなってしまうと、何のためにやっているかわからなくなってきます。これくらいのペースが心地いいなあ、少しずつでも前に進めて楽しいな、と思えるくらいがちょうどいいのです。

 

さて、今日は、かねてから話題にしていたТРКИ(外国人のためのロシア語試験)対策の話です。

来年の夏に第1レベルか、あるいは目標を下げて基礎レベルを受けることを決めた私。露検3級にも受かったことだし、次に向けてさっそく試験対策! 勉強するぞー!!

…と気合いを入れたものの、いきなり壁にぶち当たってしまいました。

 

ТРКИを受ける上での、最初にして最大の関門。

 

 

それは、情報の少なさです。

 

ロシア語能力検定試験(露検)を受ける時にも書いたのですが、ロシア語を学習しようと思うと、何をするにも情報が足りないのです。

一体、何をどのように勉強すればいいのか? 誰に習えばいいのか?

本屋さんに行けば、とりあえず初級向けのテキストはいくつか置いてあるので、入門〜初級の段階では独学でも何とかなります。が、中級レベル以上になると、途端に情報が少なくなってしまうのですね。

ましてや、日本で作られ、日本各地で実施している露検ならともかく(いやこれも教材の数はものすごく少ないんですが)、ロシア政府が直々に作成し、日本では東京にしか会場のないТРКИとなると、情報を共有してくれる受検者の数もぐっと減ってくるわけで。

もう、日本語だけで探そうとすると、情報はほぼ公式サイトにしかないと言っても過言ではありません。

 

ただ、ТРКИは世界中で実施している試験ですので、日本語にこだわらなければ、インターネットで試験対策情報を集めることはできます。教材も豊富にあるので、ネット書店で取り寄せればなんとか対策はできそうです。つくづく便利な時代を生きているものだなあ。インターネットのなかった時代だったら、それこそ専門の先生に習いに行くか、留学するくらいしか、中級より上のレベルに上がる手段はなかったかもしれません。

 

私は「育児しながら独学で」をコンセプトに学習を進めているので、なんとか家にいながらにしてロシア語の力をつけていきたいと思っています。

そして、同じように独学でロシア語を学ぼうとしている方の力になれれば、なおのこと嬉しいなあ…と思いながら、今後も手探りで見っけてきた情報をこのブログに載せてまいります。

 

もちろん、私のやり方がすべてではないので、「こんなのもあるよ!」というアドバイス的なコメントもいただけるとたいへん嬉しく思います。

 

では、さっそく情報を集めてみましょう。

まずは、日本でТРКИを実施している日本対外文化協会の公式サイトをチェック(というか、このサイトで初めてТРКИを知ったんですが)。ТРКИはロシアへ留学するときの語学力判定にも使われる試験で、入門、基礎、第1〜第4の6つのレベルがあります。

ざっくりとですが、語彙数や文法項目などから露検の難易度と比較してみると、こんなかんじでしょうか。

 

(易)露検4級<ТРКИ入門<露検3級<ТРКИ基礎<ТРКИ第1≒露検2級?(難)

 

※最後の露検2級に「?」をつけたのは、露検の2級以上を受けたことも問題を見たこともなく、レベルがつかみづらいためです。同様にТРКИの上のほうのレベルについても、習得語彙数6000とかになってくるため、もはや多すぎてよくわかりません(笑)。まだ視野に入れるレベルにも達していないということですね。

 

私は露検3級を先日取得しましたので、順当に行けばТРКИ基礎レベルを受けるべきなのでしょうが、色々な事情ですっとばして第1レベルを目指しています。

(そのあたりの事情についてはこちらの記事をどうぞ)

 

で、どうやって対策していくか。

ТРКИは、文法・語彙、読解、作文、聴解、会話の5分野で試験を受け、そのすべてで合格基準を満たさなければなりません。当然、バランスよく対策していくことになりますが、そうはいってもまず必要なのは語彙力です。読むも話すも書くも聞くも、ボキャブラリーがないと取り掛かることすらできません。逆に、語彙がある程度増えてくれば、映画や小説など色々な素材を使って学習の幅を広げることができるようになります。

 

というわけで、まずは第1レベルに必要な語彙を身につけよう。

 

ありがたいことに、日本対外文化協会のサイトには、ТРКИ対策教材をリストアップしたページがあります。ここの「第1レベル」「必須語彙集」欄をチェック。

長い書名ですが「Лексический минимум по русскому языку как иностранному」というものを購入することにしました。

 

ここで、ロシア関連の書籍を扱っている「ナウカ・ジャパン」というサイトに飛び、上の書名をコピペして検索。ありました。「外国語としてのロシア語彙ミニマム」という日本語タイトルがついていて少し安心したのも束の間、説明文は全てロシア語で書かれています。私のレベルでは手に負えないのでgoogle翻訳にかけるなどして、どうやら本当に第1レベルに必要な語彙を収録している単語集らしい…ということを確認、注文いたしました。

 

追記:

ロシア語学習者のエカテリーナさんより、ТРКИ関連書籍の購入方法についてコメントをいただきました。

ozon.ruというロシアの書店サイトから直接注文すれば、日本の書店で買うより半額以上もお得になることが多いのだとか!詳細については、コメント欄のリンク先をご覧ください。

 

 

ただ、懸念事項は一つ。

これ、何語で書かれているのだろうか?

 

単語集というからには、対訳がついているはず。でも、どの言語で訳がついているかは、説明文には書いていませんでした。英語…? まさか、ロシア語オンリーではあるまいな…?

うーん…博打。まあ、現物を見てみるしかあるまい。

 

届いたのは数日後。

ナウカジャパンさん、けっこう仕事が早かったです。ありがとうございます。

 

A4版くらいの大きさで、わりと存在感あります。

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で、中身はこんなかんじ。

 

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カメラが古いので画像が荒くて申し訳ないのですが、ロシア語の見出し語に、英語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、中国語の訳が、見開き2ページにわたって書かれています。

 

こ、これはすごい。

語学オタクとしては、この見開きを見た瞬間に狂喜乱舞してしまいました。

まさかの多言語仕様!

スペイン語の勉強にもなるっ!!

 

しかも、最初のページにあった"ангина"という語。当然知らない言葉なのですが、英訳を見ると、

"quinsy"。

 

何それ?

 

で、スペイン語訳を見ると、

"angina"(ロシア語と同じ音)。

 

何それ??

 

さっぱりわからないので、英和辞典を引いたところ、

 

扁桃腺炎」だそうです。

 

…わかるかーい!!

 

扁桃腺炎。

最低限必要な2300語に収録されている語…。

まあ、ポピュラーな病気(?)では、ある…のだろうか?

 

と、こんなツッコミを入れながら、これから頑張って覚えていこうと思います。

 

見開き、約30語×約140ページ(70見開き)で、2000語と少し。

1週間に4ページのペースで覚えていけば、来年の春には終わるはず。そこから具体的な試験対策に入っていくつもりです。また、それまでの間にも、NHKラジオ「まいにちロシア語応用編」や「チェブラーシカ」のDVDなど身近な素材を使って学習を続けていきます。

 

ちなみにこの語彙集、巻頭の注意書きや凡例はロシア語で書かれています。品詞の名前や格などの文法用語もロシア語なので、こちらも勉強になりそう。

また、巻末には、ジャンル別に語彙をまとめ直したものや対義語・類義語集まであります。辞書代わりに活躍してくれそうです。

 

あと、もうひとつ。

ТРКИ対策本、日本語で書かれたものはほぼ皆無なのですが、日本対外文化協会が翻訳した手引書があるとのことでしたので、協会から直接取り寄せてみました。メールで注文、支払いは口座振込でした。

 

「合格へのステップ-Практические рекомендации для подготовки к сдаче теста по русскому языку как иностранному」 

というもの。

ただ、これはТРКИ対策について「こういうふうに勉強したらいいよ」とか「こういう参考書があるよ」という情報を紹介するもので、実際に学習する具体的な内容を記したものではありませんでした。「聴解を受けるときは先に問題文を読んで…」などなど、受けるときの心構えのようなアドバイスが多いです。各レベル別に参考文献が色々と載っているので、ТРКИ全体の説明書といってもいいかもしれません。作文と会話については、出題される文章のモデルも収録されていますので、これを使って学習するのはいいかもしれません。

 

何にしても、ТРКИを受ける数ヶ月前になったら、また改めて試験対策の問題集を取り寄せようと思っています。

 

では、今日はこのへんで。

次回からは、1970年代の愛くるしいアニメDVD「チェブラーシカ」を使った学習を少しずつ進めていきます。

 

日本人の働き方のヤバさ、公立学校教員の視点から。〜その②〜

こんにちは。

さっそく昨日の記事の続きを…といいたいところですが、とんでもないニュースを発見してしまったので、こちらを先に言わせてください。

 

夏休み16日に?母親からは賛否 | 2017/7/15(土) 19:43 - Yahoo!ニュース

 

〈以下、記事からの引用〉

吉田町教委の教育改革…町立小中学校の教員の多忙化を解消し、授業の準備時間などを確保することで質の高い教育を提供するのが狙い。夏休みを中心に長期休業を大幅に減らして授業日数を増やし、1日当たりの授業時間数を減らすのが特徴。2017年度の夏休みは24日だが、18年度は16日程度に短縮する方向で検討を始めた。

 

えーっと、夏休みを大幅に減らし、授業を増やすという動きだそうです。

まずこのニュースを見たとき、私は「うわぁ…更に先生が忙しくなるのか…」と暗澹たる気持ちになったのですが、本文には「教員の多忙化を解消(略)するのが狙い」とあります。

 

まったくもって意味不明です。

 

授業のない夏休み期間は、教員にとって、定時で帰れる数少ないチャンスです。

授業がないことで、昼間の時間を使ってゆっくりと書類仕事を片付けたり、普段できない教材研究をしたり、研修を受けに行ったりと、変な言い方ですが、勤務時間を使って仕事することができるのです。イレギュラーな生徒指導案件(生徒のケンカとか、いじめとか)が勃発する心配もありません。夏休みバンザイ、です。授業期間中には取得しづらい有給休暇を取れるチャンスでもあります。

それなのに、これまで夏休みだった期間に授業を詰め込むとなると、上に書いたような仕事をまた勤務時間外にやらねばならないことになります。教員の長時間労働を助長する施策に他なりません。

 

様々な事情で夏休みを縮める必要があるのなら、検討することは結構ですが、そこにもっともらしく「教員の負担軽減」などとウソっぱちを書かないでいただきたいものです。

 

 

さて、前置きが長くなりました。

日本の教員の働き方のヤバさについて、話をしています。

昨日は、授業準備以外にしなければならない業務の多さについて語りました。今日は、部活動と教員の待遇についての話、そしてこのメチャクチャな現状を打開するためのハチャメチャな解決策を示してみます。

 

②休日が部活動や地域の奉仕活動で潰される

 

教員のお仕事の中には、昨日書いた様々な業務とは別に、言わずと知れた部活動がありますね。この部活動、平日は18時頃(夏季)までやることが普通です。試合前になると、延長して18時30分終了になったりもします。教員の勤務終了時間は16時45分なので、部活動の監督をしているとそれだけで時間外労働になっちゃうわけですが、特に手当は出ません。

手当が出ないなら監督する必要ないじゃないか…と思われるかもしれませんが、部活動中に生徒が事故やケガ、トラブルなどに遭った場合、顧問が監督責任を問われます。実際には、部活をしている生徒を放っておいて職員室で仕事をしている先生も多いですが、私は自分の監督下にいる生徒がケガをしたり、いじめが発生したりするのが怖くて、常に部活に張り付いていました。ですが、これも教員による自主的な行動とみなされ、勤務にはあたらないわけです。責任が発生するのに、勤務ではない。頭がこんがらがってきます。

 

話がそれましたが、休日の部活について。休日に実施する部活動については「部活動手当」がつきます。なーんだ、お給料出るんだ…と安心してはいけません。これは自治体によりますが、この部活動手当には上限があります。だいたい3000円くらいのところが多いようで、昨年12月に「上限を3600円にする」というニュースが出て話題になりました。

手当が増えて嬉しい? とんでもないです。これは、「1日に、どれだけ長く働いても3600円しか出さない」ということなのです。部活動を1日中やったり、生徒を試合に連れていったりする場合、朝から晩まで12時間つきっきりということもままありますが、こういう日の場合、時給300円になる計算です。雀の涙どころか、ミジンコの涙くらいの額ですね。最低賃金などどこ吹く風です。

 

こういった、いわゆる「ブラック部活」問題に対しては、「部活顧問を拒否できる権利を!」という署名運動(クリックすると署名サイトに飛びます。詳しくは後述)があったり、「休日には部活をやらない」という考え方が広まってきたりしています。嬉しいことです。ただ、それでもまだ、保護者からの要望があったり、これまでの慣例を破れないなどの理由で、多くの教員がこの問題に悩まされています。

 

「ブラック部活」解決策の一つとして、長年実施されている「外部コーチ制」や「複数顧問制」というものもあります。文字通り、部活を専門にみてくれるコーチを配属したり、各部活に顧問を複数配置したりして、顧問の負担を軽減しようというものです。

しかし実際には、こういった制度が形骸化してしまっている現実があります。私が配属された中学校で、上記の制度を2つとも採用しているところがありましたが、実際には「外部コーチが、教員に部活に来ることを強制する」「複数顧問がいても、片方の顧問が自主的にずっと部活に参加しているため、(特に上下関係があったりすると)もう片方の顧問も休みづらい」「逆に、一切部活に来ない顧問がいて、もう片方の顧問が負担をすべて担わざるを得ない」など、いびつな状況が発生していました。特に外部コーチ制は、アルバイト扱いで勤務可能日数にも上限があり、つまるところ待遇が悪いため、ボランティア感覚で来ている暇なおじさんみたいなコーチばかり集まってしまい(失礼…まじめにやっている人もいますが)優秀な人材が集まり辛いというのが実情のようです。まあ、これも自治体によるでしょうけれど。

 

この他にも、地域でお祭りがあれば見回りをし、夏休みには夜間パトロール、地域の古紙回収事業への参加など、無償で労働を求められることがとても多く、こういったことに休日をどんどん潰されていきます。

 

③上記のように仕事量が多いにもかかわらず、残業代はゼロ

 

はい。ここまで、教員の重〜い業務負担について書きました。最後にお給料の話をします。

結論から言うと、教員に残業代はありません。どれだけ夜遅くまで残って働いても、基本的には、8時15分から16時45分までのお給料しか出ません。

 

「基本的には」と書いたのは、例外があるからです。教育公務員には、「教職調整額」という特殊手当があります。かいつまんで言うと、教員は特殊なお仕事で、例外的に残業することがあるから、あらかじめ基本給に上乗せして支払われる手当です。

 

その額は、基本給の4%。

 

繰り返します。4%です。

1日の勤務時間に換算すると、18.6分

これ以上の手当は、支払われることがありません。

つまり、いくら超過勤務があっても、教員は17時4分には帰れるだろうという前提のもとで、決められた制度です。この18.6分分の調整額を支払うことで、いくら残業しても、教員の労働力は定額使い放題。これ以上のお給料が支払われなくても「自主的に」遅くまで残って仕事をしてくれる、とっても便利な存在だと思われているわけです。

 

もうひとつ付け加えると、上記の「教職調整額」については、その対象となる時間外労働の内容が限定されています。

以下、中央教育審議会の文書(クリックすると全文が見られます)より引用します。

 

①教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとすること。

②教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

 

つまり、

1、実習や修学旅行などの特別な行事

2、職員会議

3、非常災害や緊急事態

 

これ以外の時間外勤務は、してはならない、命じてはならないと、文部科学省が明記しているのです。

ですが、これまでに書いてきた通り、実際に発生する時間外労働はほとんど上記以外のものです。日本の公立学校教員たちは、このように想定されていない時間外労働を、業務命令ではなく自主的に、好きこのんでやっているから、手当を支払うに値しないと判断されているのです。

 

以上、2回に分けて書いてきました。日本の公立学校の教員の働き方のヤバさについて、少しでも知っていただけたなら幸いです。

自分の経験について、勢いに任せてずいぶん赤裸々に書いてしまいました。公務員の守秘義務違反にはあたらないと思うのですが、私はまだ在職中ですので、バレるとまずいかもしれませんね。わはは。まあ本当にあったことを正直に書いただけですので、悔いはありません。

 

さて、ここで終わってしまうと、ただの一教員のグチに終わってしまうので、現状を打開するための解決策を以下に提示しておきます。

 

この「教員の長時間労働」を解決する手段。

ものすごく極端な、それでいてシンプルな手段をここに提示します。

 

それは、教員が、勤務時間におさまらない仕事を一切やらないこと

 

「あいつら好きで居残って残業しているんだから、残業代払う必要なんてアリマセーン」と言われるのなら、もう本当に残業なんかせずに、16時45分にみんな帰っちゃえばいいんです。

 

部活? そんなの知りません。業務命令じゃないんだし。

アンケート? 知りません。こなせない量の仕事を振るのが悪いんだから。

授業? 生徒が帰ったあとの45分間しか、準備に充てませんよ。ろくに準備ができなくたって、勤務時間が終われば家に帰ります。生徒の前で教科書をただ読むだけの授業にすれば、準備なんかいらないんだし、ね。

 

こうやってみんなが、与えられた時間でできる仕事しかしなくなれば、当然のように、学校は荒れます。授業の質も下がり、日本の子どもたちの学力も下がりますね。何とかしなければならない。ここで、行政がまともな判断をするのであれば、教員の待遇を上げなければならない、ということになるわけです。教員や事務職員の数を増やし、残業をしたときはきちんと手当をつけ、勤務時間内だけでも充分なパフォーマンスが出せるように制度を変えていかなければならない。

 

ただ、太字で書いてしまったのですが、これを実際にしたところで、行政がまともな判断をしてくれるかどうかがわかりません。そして、いわゆる「世間様」がこの現状を見て「教員がまともな仕事をしていない!」「給料泥棒!」というようなバッシングをしてしまいかねない(というか、現時点でもこういった言葉が頻繁に聞かれます。悲しいことです)。ここが、日本の「働き方」に対する考え方の歪みだと思うのです。

 

そして何より、全国の教員たちが上に書いたような強硬手段に出ることができないのは、目の前の生徒を放っておけないからだと思うのです。自分たちの待遇改善を求めて行動を起こせば、その皺寄せは生徒が被ることになる。自分がいま担当している生徒たちに、どうやって賢くなってもらうか、生きる力・考える力をつけて社会に出てもらうか、それだけを考えて教員になったのです(そうでない人も、いるかもしれませんが…)。だから、勤務時間外だろうが、無茶なスケジュールだろうが、いい授業をつくるために毎日遅くまで残って、働いているのです。

 

私は、このような状況のことを「生徒を人質にとられている」と表現します。

 

そして、その生徒のために無茶な働き方をすること、朝早くから夜遅くまで休みもなく働くことが「美しい」とされる世の中。「先生なら、それくらいして当たり前でしょ」。よく言われる言葉です。ですが、その「当たり前」のために、多くの教員が毎月100時間を超える時間外労働を余儀なくされ、私生活を犠牲にせねばならず、ひいては精神疾患や過労死に追い込まれているのが現状なのです。

 

「先生がきちんと働けていないのなら、待遇を上げなければならない」。

 

世界では当たり前の考え方ですが、これが日本ではあまり共有されていないこと。

このことが、最も大きな問題だといえるかもしれません。

 

さて、夢も希望もないようなことをつらつらと書いてきましたが、嬉しい動きもあります。

全国の教員たちが立ち上がって、待遇改善に声を上げ始めているのです。

2つの署名活動があります。私も微力ながら参加していますが、以下にリンクを貼っておきます。

 

部活問題 対策プロジェクト

「教員にも、部活動顧問に参加しない権利を」という趣旨のプロジェクト。教員の負担だけでなく、強制的に入部させられる生徒側の負担にもスポットを当てています。

 

教職員の働き方改革推進 プロジェクト · Change.org

こちらは「教職員の時間外労働に上限規制を設けてほしい」という趣旨のものです。

 

こういった動きがあるのは、本当に喜ばしいことですし、忙しいなかでこのようなプロジェクトを立ち上げてくださった先生がおられるという事実に、本当に頭が下がる思いです。

もし、このブログを読んでくださっているあなたが、この記事に少しでも共感してくださったなら、上記プロジェクトにも応援の手を差し伸べていただければと思います。

 

たいへん長くなりましたが、教員の働き方について、私が思うことを述べてきました。

 

一応ことわっておきますが、これまでに書いた学校現場での事例はあくまで私の経験にもとづく描写です。学校によって、自治体によって、地域によって学校の方針は変わってきますので、「こんな学校ばかりじゃないよ」という意見があれば、それはもっともだと思います。ただ、こういう現場もあるんだということを、わかっていただきたかったのです。

 

さて、ものすごく真面目な話になっちゃいましたが、次回からはまた、お気楽にロシア語学習の話をしていきたいと思います。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

では、またお会いしましょう。

日本人の働き方のヤバさ、公立学校教員の視点から。〜その①〜

こんにちは。

今回は語学の話はお休みして、気になった話題を取り上げてみます。

 

www.from-estonia-with-love.net

 

日本の労働者の働き方のヤバさ。

私も常々気にしているテーマだけに、色々と考えさせられました。今回は、日本で働く公立学校教員(育休中ですが)としての視点を交えて、この問題について考察してみます。

 

この記事の内容についてはリンク先を読んでいただきたいのですが、かいつまんで言うと、「欧州諸国の人々にとって日本人のイメージはもはや、低賃金で長時間労働でも喜んでていねいな仕事をしてくれる、便利な労働力というもの」だという主張。この記事によると、アメリカに住んでいる人も日本に対して同じイメージを持っている、ということですが、短期とはいえオーストラリアでの生活を経験したことのある私としても、おおむね同じ意見です。

欧米を含む諸外国(乱暴なくくりですが、日本以外の多くの国がそうだと思うので、あえてこの言い方をします)では、

 

「働くときは、給与や待遇に見合った働き方をする。ていねいな仕事をしてほしければ、待遇を良くしなければならない。」

 

というのが常識です。ところが日本では、

 

「給料が低かろうが、待遇が悪かろうが、仕事に対して手抜きをしてはならない。生活が苦しくても、残業が多くて辛くても、我慢して働き続けるのが素晴らしいこと」

 

という考え方が一般的です。その結果、無理な働き方をして精神を病んでしまったり、過労死をする人が後を絶たず、社会問題になっていますね。

 

また、日本では「休みを取るのは悪いこと」というような発想もまだまだ根強いです。欧州諸国だと、従業員に有給休暇を全て消化させないと企業に対して罰則がでたり、週あたりの労働時間上限(だいたい40時間?)があって、それより多く働かせてはならないという法律があったりしますが、日本ではそのあたりがガン無視されています。私も教育現場で働いていて、有給休暇が確か年20日ありましたが、一年目は休暇の取り方もよくわからなくて一年間で0.5日しか取りませんでしたし、その後も年5日も取っていないと思います。

 

更に、日本では「体調を崩したりしたときに困るから、有給を残しておく」という人も多いですが、欧州では「カゼをひいて休む」などというときに有給を消化するのはおかしいので、有給とは別に病気休暇(その間も給与は満額支給)が設定されている場合がほとんどだそうです。日本の会社では、なぜか「カゼをひくのは自己責任だから、有給を使って休む」とか、さらには「カゼをひいても、休むと迷惑をかけてしまうから、無理して出社する」みたいなケースも多いですよね。そこまでして「頑張って働かないといけない」というような、強迫観念のようなものすら感じます。

 

また、多くの自治体では女性の職員に「生理休暇」というものを与えています。文字通り、月一回、生理が重い日には休んでもいいよ、というもの。ただ、私はこの「生理休暇」というものを使ったことがないし、使っている人も見たことがありません。休みを取ったって周りに負担がかかるし、その日の仕事を別の日にやらなきゃいけないだけだから、意味がないんです。ですが、休暇を与えている側としては「休暇があるのに、あいつら使わないで勝手に仕事してら」という理屈になるわけです。休暇があるなら、きちんと使われているか確かめるのも役目のうちなのに、です。おかしな話です。

 

ここで、日本の公立学校業界の話をします。

もう広く知れ渡っていることですが、日本の公立学校は、とんでもないブラック労働を教員に強いています。まさに、上記リンクで触れられている「日本の労働者の働き方のヤバさ」を代表するものだと思います。以下にその理由をつらつらと挙げてみます。

 

 

①授業作り以外の業務量がものすごく多い

 

教師の仕事の本分は、授業です。子どもに勉強を教えたいから教師になる。当たり前の発想ですよね。私も勉強が大好きで、学ぶことの楽しさを子どもたちと共有したくて教師になりました。

ところが、実際に教育現場で働いてみると、とにかく授業や授業準備以外の業務量が多い。とてつもない量です。

先に教員の勤務時間を示しておくと、私がいた学校では、8時15分開始、16時45分終了でした。1日の授業が終わり、掃除やショートホームルームを含めて、生徒が下校するのは16時前後になることが多いですが(このあと部活が始まるのはまた別のお話)、残り45分ではとうてい終わらない量の業務が次から次へと押し寄せます。

(そもそも、この45分で明日の授業の準備をしろというだけでもムチャな話ですが…)

以下にその例を挙げます。

 

教育委員会から無数に降ってくる各種調査

「中学生の生活習慣に関するアンケート」「いじめアンケート」「薬物濫用に関する調査」…などなど、とにかく「お上」から降ってくる調査書類がものすごく多いです。こういうアンケートが降ってくるたびに、ホームルームで生徒に配布して答えさせ、それを集めて各項目ごとの答えを集計し入力。自由回答のものがあれば、それも一言一句残らずパソコンに打ち込み。これ、すべて教員の仕事です。教員自身に色々聞いてくるアンケートも含めると、本当に膨大な量です。事務員は、私の経験では各校に1人か2人しかいないことがほとんど(中学の場合。高校はもう少し多いかも)で、いつも学校全体の事務処理に追われておられるので、とても頼むことなどできません。

また、中学3年生になると、年に何度も進路希望調査が行われますが、第1希望〜第3希望まで、全ての生徒についての情報を入力し、志望校ごとの一覧表を作成したり、成績順に並べ替えて資料を作ったりするのも、すべて教員がやります。こういう作業が立て込んでくると、「私はホッチキスを留めるために教員免許をとったのだろか…」と、本当にむなしい気持ちになってきます。

 

・長引く会議(特に行事前)

学校には職員会議というものがあります。これは勤務時間内に終わるよう設定されていることが多いですが、上に書いた生徒下校後の大事な大事な45分間を、ここで使い切ってしまうわけです。終わったらすぐ退勤〜♪というわけにいかず、そのあとで、ここに書いたその他もろもろの業務に追われていくのです。

 

このような定例の職員会議は、だいたい月に1回程度だと思いますが、これ以外にも色々な会議があります。特に多いのは学年会。学年ごとに、直近の行事について話し合ったり、生徒指導案件を共有したりする会議です。特に修学旅行や林間学校などの前(といっても半年くらい前から計画を始めることが多いので、常に何かしら行事の話をしているわけですが)には、班別学習でどの班がどこを回る予定かとか、どの生徒がアレルギーを持っているからどの食事でどの食材を除去するかとか、新幹線の座席をどのように配置するかとか、こういう細か〜いことを繰り返し繰り返し議論します。

私はまだやったことがないですが、宿泊行事の担当者になっちゃったりすると、本当に悲惨です。忙殺されます。学校によっては百人以上の生徒を抱える大旅行について、旅行会社の担当者さんと打ち合わせをし、綿密な計画を立てるという責任が両肩にのしかかってきます。教員は旅行エージェントまでやらなきゃいけないのか?と目を疑うばかりの仕事量で、授業なんかそっちのけで宿泊行事成功のため、全力を注がなければなりません。

 

この他にも、「○組の○○さんがガムを学校に持ってきていた」とか、「×組の××君がゲームセンターに入り浸っていて地域から苦情が来た」などといった雑多な話題もいちいち持ち出して、どのように指導していくかを学年で話し合わなければなりません。本当に、勉強だけ教えさせてくれよ…とため息をつきたくなるような事例が絶えないのです。

 

・存在しない昼休み

公立学校教員は地方公務員です。当たり前ですが公務員にも労働規定はあり、1日の労働時間のうち45分の休憩時間を確保しなければなりません。これ、書類上では「昼休憩」としてしっかり設定されているのですが、実際には教員に昼休みは存在しません。昼休みは昼食指導といって、生徒がお弁当や給食をお行儀良く食べているか、目を光らせなければなりません。担任を持っていなくても、給食準備や片付けで生徒がきちんと係分担できているか、廊下でトラブルが起こらないか、見張っていなければならないのです。自分の分の昼食は秒でかきこみます。その昼食すら、生徒同士のケンカの仲裁や他の業務の消化などで、満足に取れないこともあります。

 

また、生徒には昼休みがありますが、この昼休みの時間に教員が休憩できるわけではありません。昼休みを利用して生徒が部活をしたり、委員会を開いたりする場合、教員はそこについて監督しなければなりません。また、昼休みは、生徒が学校生活で最も開放的な気持ちになる時間。言い換えれば、ケンカや小競り合いなどの問題が起きやすい時間でもあります。生徒が学校で何か問題を起こすと、それはすべて教員の責任ということにされてしまうので、ここでも教員は「自主的に」廊下に張り付いて生徒を見張っています(別に怖い顔をしているわけではなく、生徒と談笑したり教室で仕事をしたりして、生徒のそばに極力いるようにします)。

 

「そんなことまでしなくても、職員室で休んでてもいいやん…」と思われるかもしれませんが、昼休みに教師のいない教室でイジメでも発生しようものなら「どうして先生が見ていてくれなかったんですか!!」と各方面からクレームが押し寄せること必至なのです。世知辛い世の中です。教員たちは、生徒を、そして自分の身を守るために、「あくまで自主的に」昼休みを犠牲にしているのです。

 

・書類を作るときの「謎の表記ルール」

教員は公務員なので、公的な書類を作成することもあります。たとえば、指導要録といって生徒一人ひとりの個人情報を記載した書類や、高校入試のときに提出する調査書、教育委員会の偉い先生方に見てもらう研究授業の指導案(授業の設計書のようなもの)、などです。

こういう書類を作成して管理職に提出、チェックをもらうわけですが、そのときに本っ当〜にどうでもいい、細かい細かいルールに則って書き直しを命じられることが多いのです。たとえば、「この生徒は『英検3級』取得と書いているが、こちらの生徒は漢数字で『英検三級』になっている。どちらかに統一せよ」とか、「段落はじめの一字下げる部分が、五行目のココだけ半角になっている。体裁を整えよ」などなど。自治体によっては、漢字の使い方にもいちいちルールが決められていて、「〜すること」の「こと」を漢字で「事」と書いてはいけないとか、そんなこと内容に関係ある!? とウンザリするようなルールが山ほどあります。こういうルールが厳守されることで、チェックする側も、される側も、本当に無意味に神経を磨り減らされます。いったい何のために、誰のために…と自問自答する日々です。

 

・ペンキ塗りや花の水やり、そうじなどの「自主的な仕事」

これは教員の仕事を始めて本当に、本当にびっくりしたのですが、校舎の壁のペンキを塗るのも教員の仕事なのですよ!! 信じられますか? まあ学校によるでしょうけれど、私のいた学校はそうでした。年に1回、汚れた校舎の壁を、感謝をこめて真っ白(他の色のこともありますが)に塗る。このペンキの調達、ローラーやハケの掃除、マスキングテープの調達まで、すべて教員の仕事でした。もう教員の仕事をバカにしてますよね。

 

他にも、特に若手教員に対してですが、鉢植えの花に水をやったり、朝ほかの先生よりも早く来て職員室を掃除したり、といったことを「やらなければならない」という空気があります。もう、こうなると教員でも何でもない、ただの何でも屋さんです。一応言っておきますが、用務員さんはいますよ。でも、この用務員さんに先駆けて若手教員がやるのが「えらい」そうです。私にとっては、用務員さんの仕事を奪っているようにしか見えませんでしたし、勤務開始より早く学校に行くなんて嫌だったのでやりませんでしたが、やってる若手さんがほとんどでした。毎日お疲れさまです。

 

・その他、生徒指導事項

とある事例を紹介します。

勤務時間もとっくに終了した19時。当然のように職員室に残って仕事をしていると、警察から電話がかかってきます。いわく、「そちらの学校の○年○組の○○君が、コンビニで万引きをした」とのこと。こういう電話を受けたら、担任は「へえ、そうですか。教えてくださってありがとうございます」というわけにはいきません。速攻で現場に向かい、指導にあたります。もちろん親にも連絡がいきますが、勤務時間外であろうが、たとえ深夜であろうが、学校も連絡を受けたからには現場に向かわなければならないという謎ルール。生徒と一緒にお店に謝り、警察に謝り、保護者(現場に来てくれないようなネグレクト保護者だったらなお悲惨)と共に生徒を叱り、家に帰し、学校に戻り、学年主任と管理職に口頭で報告をしたのち、報告書を作成し、管理職にチェックを受けるまでがお仕事です。で、ここから明日の授業の準備が始まるわけです(ひえ〜)。

 

万引きの他にも、生徒が家出をすれば保護者と一緒に探しますし、不登校の生徒がクラスにいれば、定期的に家庭訪問をして様子を確認します。いじめで生徒同士がもめれば保護者も交えて学校で話し合いをします。「上履きが隠された」という生徒と一緒に校内をくまなく探しまわったことも数知れず。現代の生徒さんはスマホを持っている子が大多数で、またその大部分の子がLINEをしているので、LINEで仲間はずれにされた、悪口を言われたという事案も後を絶ちません。こういったことが発生すると、携帯電話の中だけで起こったことの事実確認をするという禅問答に近いことをしなければならず、またその都度、学年主任や管理職、ひいては教育委員会につぶさに報告しなければならないので、ものすごく疲弊します。でも、これをやらないと「いじめを隠蔽した!!」とバッシングされますからね。何度でも言いますが、世知辛い世の中です。

 

ずいぶん長くなりましたが、ここまでが「教員の働き方のヤバさその① 授業作り以外の業務量がものすごく多い」です。

 

「授業の空き時間に仕事すればいいんじゃ?」という声もあるかと思いますが、私の経験ではそれでも足りないことが多く、また先生によっては「授業がぎゅうぎゅうに詰まっていて空き時間がほとんどない」という状況もあります。それと、学校によっては空き時間の教員で校舎の見回りをするというルールを設けていることもあるので、忙しさに変わりはありません。

 

こういった忙しさ、仕事内容のハードさから、全国で毎年約5000人の教員が、精神疾患のため休職に追い込まれています。異常です。が、現時点では、ほとんど何の対策もなされていません。

 

さて、ここから「教員の働き方のヤバさその②」に続きますが、ものすごく長くなったので今日はここまでにします。明日は、部活動や教員の待遇についての話をします。

 

では、おやすみなさい。 

 

次の記事はこちら↓

日本人の働き方のヤバさ、公立学校教員の視点から。〜その②〜 - かあさんは雨女

ロシア語能力検定試験3級、合格しました。

ママ友あるある 〜その1〜

赤ちゃんサークルなどで出会った赤ちゃんがママさんにそっくりだなぁと思って「ママ似ですか?」と訊くと、「いえいえ〜、この子は父親にそっくりなんですよー」と言われ、ご夫婦もそっくりなんだろうなぁ…と微笑ましくなる。

 

こんにちは。またまたご無沙汰いたしました。

ちょっとした育児の小ネタを挟みながら、マイペースに語学オタクの生活を綴っております当ブログ。

おかげさまで累計ページビューが1000を突破いたしました!ぱちぱちぱち!!

こんな、いつ更新されるかもわからんブログを覗いてくださって、まことにありがとうございます。今後とも、好きなときに、好きなことばっかり書いていきますが、どうぞよしなに願います。

 

さて、いつのまにやら夏本番ですね。

検定シーズンが終わって次の学習目標も決まり、さて次は何を書こうかな〜、と考えているうちに、ロシア語能力検定試験の結果が返ってまいりました。

 

結果は、合格!

 

ブログに画像貼り付けるの初めてですが、うまく載るかな?

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※プライバシー保護のため、証書番号や個人情報は消してあります。なんだか、「みほん」みたいですね。

 

受検記にも書いたとおり、今回はあまり自信がなく、じりじりしながら結果発表を待っていただけに嬉しい報せでした。

ただ、点数の内訳と講評を見る限り、反省点もたくさん…。

 

 

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なんとなんと、最も自信のあった文法よりも、和訳のほうがよくとれていました。聴取満点は、まあ手応え通りです。

 

そして、いちばん驚いたのは…。

和文露訳!

ぜんぜん出来なかったので、足を引っ張るならここだろうと思っていた(露検は全分野で6割以上とれないと不合格)のですが、なんと8割以上も点数をいただいていました。

スペルミスや完了体・不完了体、時制のミスがたくさんあったはずですが(後で調べたら間違いだらけだった)、単語自体が書けていたので得点をくれたのでしょうか。このへんは採点基準に左右されそうです。

 

そして、朗読。ギリギリすぎるやろ…。合格点ぴったり。危なかった。。

講評(個人ではなく受検者全体の傾向)によると「全体にリズムとイントネーションの意識が希薄」であり、「アクセントが置かれている母音は強く、長く発音され」ることを意識すれば発音は向上する、とのこと。ただ、ロシア語の発音はこのアクセントが曲者でして…。同じ語でも、複数形になったり格変化したりすることで、法則性なく気まぐれにアクセントが移動しちゃったりするのです。つまり、一つの語につき数パターンのアクセントを記憶していかなければならないわけ。

解決策としては、なるべくたくさんのテキストを(それも正しい発音で吹き込まれた音声を)耳に入れていく、という地道な作業を繰り返すしかないのですね。ロシア語で会話する機会を日常的に持てない限りは、本当にこれ以外の道が存在しないのですが、まあラジオやCDつき教材などを使って頑張ってまいります。

ひとまず、今回うかってて良かった…。

 

これで心おきなく、次なる試験・ТРКИの準備に取りかかることができます。

 

次回以降は、先日取り寄せたТРКИの教材(本屋には売っていない)についての紹介と、それからロシアの愛らしいアニメ「チェブラーシカ(1969年版)」のDVDを使った学習法を実践してまいります。

スペイン語や英語の話も、これまで通り、折に触れて。気が向いたときに。

 

では、またお会いしましょう。